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Round 1 of WorldSBK at Aragon with Kawasaki Racing Team. Rea 100 Wins
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ジョナサン・レイ- 100勝の偉業を達成

Jun 022021

2008年にジョナサン・レイ(Jonathan Rea)が、初めて当時のワールド・スーパースポーツ・カテゴリーの大舞台に立ち、デビュー戦に挑んだ時、この愛想の良いバリミーナ出身の北アイルランド人がもたらす影響を誰も想像することはできなかっただろう。

14シーズン、100勝、6連覇。歴史上最も偉大なライダーの1人になる可能性が高いといっても過言ではないだろう。

スペインのモーターランド・アラゴンサーキットで行われた2021年シーズン開幕レースではライト・トゥ・フラッグの勝利を収め、キャリア通算100勝目を記録した。2位に4秒もの差を付けゴールラインを切り、スーパーバイク世界選手権史上初の100勝を達成し、ジャコモ・アゴスティーニ(Giacomo Agostini)やバレンティーノ・ロッシ(Valentino Rossi)など世界レベルで100勝以上しているエリートライダーたちの仲間入りを果たした。

18周したレースの後、レイはこう語った。「100勝を達成することができた。これは多くのハードワークによって成し遂げられたものだ。オフシーズン中、カワサキが新しいマシンを投入してくれたおかげで、僕らは一歩前進することができた。また、僕自身も一生懸命自分と向き合って練習に取り組んだことで、様々な点を改善することができた。僕はモーターサイクルレースをする夢を持って生まれ、1993年から94年には、両親と一緒にモトクロスのトラックを走り回った。その日々は常軌を逸していたよ。2008年にスーパースポーツで世界選手権に出場する機会を得て、ルーキーシーズンのあとすぐにスーパーバイクに転向した。2009年にミサノでルーキーとして初めてのレースで優勝し、今では100勝を挙げている。考えられないよ!
 

34歳のレイは、スーパーバイクNinja ZX10RRに乗って時速200km近くで疾走している時以外は、常に穏やかな表情を浮かべている。カワサキのファクトリーチームと一緒に作ったトラック上での快挙よりも、自宅、家族、モトクロス、またはサイクリングについて話すことを好んでいる。ライダーのなかには、ほんのわずかな成功でも常に自慢したがる者がいるが、レイはさっぱりしていて、そんなことはしない。
 
唯一、レイが異次元の才能やピンポイントの正確さ、レースに対する冷徹な集中力を爆発させるのはバイザーを降ろすときだけだ。彼がバイク降りたその瞬間、再びおおらかなジョナサン・レイに戻る。レイが抱えている期待とプレッシャーを考えると、それは信じられないほどの偉業であり、真のチャンピオンの印だ。

 

さらに凄いことに、彼はそれをいとも簡単にやってのける。

 

北アイルランドで育ち、父のレースを見てきた。上手くいったとき、沢山の人に背中を叩かれるような、おだてられる環境にはいなかった」とレイは説明する。

 

いつも謙虚でいるように教えられていた。たとえば、ジョイ・ダンロップ(Joey Dunlop)のようなロールモデルは、皆のチャンピオンだったんだ。なぜなら、彼らはレースで成功した普通の人だったからだ。私が若かった頃、モトクロスレースに勝って、観客に向かってゴールラインを大きく叩いたり、一回転したりしていたら、父に叱られたよ。勝っても謙虚な姿勢で次のレースに臨むという姿勢は、今の私の集中力にも影響していると思う。年齢を重ねるほど、結果を出すためにどれだけの努力が必要かがわかるから、自分自身に投資し続け、より一層努力するという意欲も確実に高まる。

 

2008年、最初のシーズンで3回の勝利と3回の表彰台獲得し、選手権で2位になった。これだけではなかったが、レイはこのカテゴリーでその年の最終レースに不参加ながらも、これらの偉業を成し遂げた。代わりに、ポルトガルでのその年最後のレースの週末にフルファットのスーパーバイクマシンに乗れるようになった。2018年に入り、チェコGPのブルノで圧勝したレイは、WSBKキャリア通算勝利数で当時最も成功したライダーを追い抜き、記録に彼の名前を刻んだ。

歴代レースの優勝者リストに載っているカール・フォガティ(Carl Fogarty)を追い抜いたとき、多くの人が騒いでいた。当時、彼は59勝していたはずだ。そして、2018年のブルノで僕は彼を追い抜いた。60勝を達成するのはかなり大変なことだった。だから今、ほんの数シーズンしか経っていないのに、100勝について語るのはイカれた話さ。」

 

彼の秘密は何だろう?成功の難しさは再現性にあるとよく言われる。しかし、レイの特徴的なスタイルには、シンプルなやり方があると彼は主張する。シンプルすぎるが故に、誰に対してもポールポジションタイムを目指す指導が可能だろうと彼は冗談にしている。

 

完璧なラップを達成するためのマニュアルは間違いなくある」とレイは笑顔でいう。「僕にとって、それは文字通りA-B-C手順のようなものなんだ。トラックを知り、バイクを知り、そして速く走るための決まったルーティーンがあることを知る。毎年変わるものではない。僕が育ったモトクロスのように、ラップごとにコンディションが変わるわけでもない。たとえば、冬のテストに行って数か月間バイクから離れていても、すぐにラップ記録のペースに近づけることができる。なぜなら、それは学習した経験があるからだ。

 

無意識のうちにそれを行う方法が分かる。実際にメモを書き留めたことはないけれど、すべてのトラックには、素早く周回する方法についてはっきりとしたステップバイステップのプロセスがあることを僕は知っている。僕はよく仲間に、僕の言うことを正確に守れば、僕のラップタイムを正確に再現できると君たちを説得してみせるよと冗談を言うんだ。

 

カウサキのスチュワードシップの下で挙げた85勝、それはおそらくチームとの関係や、ギムとビールのロダ兄弟とレイのクルーチーフであるペラ・リバによって育まれた家族的な雰囲気によるものだ。

 

僕はもう一つの素晴らしいチーム、テン・ケイト・ホンダチームから移って、カワサキに加わった。前のチームでは、そこにいるすべての人と素晴らしい関係を築いていた。僕がカワサキに参加したとき、チームはスペインのバルセロナに拠点を置いていた。南欧風の生活様式は大きな変化だが、僕にとっては良い変化だったんだ。チームのオーナーは、彼はできる限り最善を尽くすという、僕に言わせれば非常に健全な執着心を持っている。」とレイは語った。

 「チーム・スカイがサイクリングに参入し、マージナル・ゲインを目論んでた時にやろうとしたことと比較できるかもしれない。パフォーマンスを向上させるためにできることは何でもカワサキは行う。彼らが人として、そして肉体的および精神的側面でライダーとして僕にかなりの投資をしていることに気づいたんだ。たとえば冬の間、調子を確認するために多くの電話がかかってくる。医者の診察を受け、シーズンを通して身体検査と健康診断を受けなければならない。最初、僕は身構えていたが、彼らが僕の可能性をすべて引き出そうとしているだけであることにすぐに気づいた。それは実は非常に素晴らしいことだった。

 

では、100勝を手にした次の目標は何か。それとも、レイは記録や統計さえ考慮しないのだろうか?スペインのアラゴンで記録破りの2021年シーズン開幕戦を終えたばかりの中、レイはその思いを語ってくれた…

 

本当におめでとうございます!この18ヶ月間の浮き沈みを経て、信じられないような偉業を成し遂げましたね。

ジョナサン・レイ:「ありがとう!本当にそうだね!正直なところ、レースに戻れたことがただ嬉しいんだ。去年は第1戦でクラッシュしたから、シーズンのスタートは厳しいものだった。ばかげたミスを犯して、後ろからぶつけられた。多くのポイントと機会を失った、愚かしいミスだった。第2戦でカタールに行くのを楽しみにしていたが、その後、世界は360度回転して僕らは皆、新型コロナウイルス感染症のパンデミックの現実に直面しなければならなかった。正直なところ、レースを休むことを心から良いことだと思う自分がいたんだ。キャリアの中で、僕はちゃんと休んだことがなかった。バイクに乗らないときはいつでも怪我をしていて、それでも忙しくなる。理学療法やトレーナーなどのもとに行くからね。だから、一旦立ち止まって、実績を確認できたのは良かったよ。

 

記録を達成したことを踏まえて、ライダーとしてやはり記録が気になるものですか?それとも、トラックの外にいる人たちのほうが気にしていますか?

ジョナサン・レイ:「レースでの勝利はどれも特別なものだ。統計学者ではないけど、大きな目標である100勝が見えてきたときは、統計を気にしたね。それはもの凄い数字であり、キャリアの象徴だ。それをとても誇りに思う。悪天候の冬のテストでは少し運が悪かったけど、チームはあらゆる手を尽くして、できる限りすべてのテストに参加した。いろんな調整やスケジュールの変更をしてくれたスタッフの皆に感謝したい。マネジメントだけでなく、この犠牲を払ってくれたすべてのメカニックとその家族にも。異なる世代からやって来て、人より一枚上手を行く人間が常に存在している。僕はできるだけ競争力をつけてそれを楽しもうとしているんだ。それだけさ。スタッツじゃないよ。」

最初の勝利と最近の勝利のどちらが嬉しかったですか?そしてその理由も教えてください。

ジョナサン・レイ:「正直に言うと、最初の勝利がもっとも際立っていたと思う。世界選手権レベルのレースに参加するとき、能力があって実績に基づいてそこにいるわけだから、一般的にそこに参加するに値する人間ということだ。しかしそれを超えて、ポテンシャルを確認する唯一の方法はレースに勝つことだ。それを達成するためには常に多くのプレッシャーがあり、そしてそれが最終的に実現したら夢心地になる。僕にとっては2009年のミサノでのことだが、昨日のように覚えているよ!2人のドゥカティライダーと競い合って、スーパーバイクレースのルーキーシーズンにしてトップに立った。すべてを思いだすのは難しいけど、フィニッシュラインを越えてチェッカーフラッグを見ると、同じ感覚が湧き上がる。それほどエキサイティングなことはないよ、それは確かさ。」

 

100勝達成というのはある種の目印ですが…

ジョナサン・レイ:「確かに大変な事さ。非常に重要だ。これが実現できたことは、何だか非現実的なんだ。時に、勝に勝を重ねてくると、軽く言うつもりはないけれど、それが当たり前になってしまう時がある。私はこれまで、レースの勝利を本来あるべきように祝ってこなかった。勝利は、チームやメーカーなど関係者全員に大きなインパクトを与えるものですが、それが続くと不思議と当たり前になってしまうんだ。しかし、100勝は普通じゃないね。今では間違いなく僕の履歴書のハイライトになっているよ。

 

「僕以前のライダーたちに公平を期すために、週末に3つのレースがある今、それを達成するのは確かに簡単なんだ。簡単ではないにしても、それほど多くの勝利を挙げることがより短期間でできる可能性がある。それについて大げさに言っているわけではないけれど、週末ごとにレース数が増えているので、こうした記録を得る機会が増えていることは認識しているよ。」

何度も成功できる秘訣はありますか?それとも、それは何か執着のようなものなのでしょうか?

ジョナサン・レイ:「そうだね、勝利に取り付かれてしまうことがあるし、実際に取り付かれているよ!しかし、僕は経験からそれを正しい方法で制御することを学んだ。執着することは、それをどのように利用するかによっては、不健全にも健全にもなる可能性がある。僕が勝ち始めたキャリアの早い段階で、僕は食事療法とトレーニングに執着していた。それが唯一の存在目的だった。子供ができてからは、人生の全体像が見えてきて、心を穏やかにすることができるようになった。つまり、僕はもっと簡単に成功したいという執着と願望を管理できるということだ。それは優先順位を変えるだけなんだ。初勝利のときの感情的なインパクトは甚大だけど、時間が経つにつれて、勝つたびに次のレースに再び集中することができる。それは人格の持つ不思議な側面さ。勝つことのインパクトがもう沁み込まなくなるかのようなんだ。ある意味、レースをやめるまでそれはもう起こらないかもしれない。」

 

レースの結果によって、自分自身や外部へのプレッシャーは大きくなりますか?

ジョナサン・レイ:「そのようなプレッシャーはない。今はカワサキという素晴らしい環境にいるので、プレッシャーはあまり感じないよ。もちろん、時には大変なこともある。特に物事がうまくいかないとき。すべてを危険にさらして絶対的にギリギリの状態で乗っているときに、それでも10分の1秒を縮めようとして、もっと速くなる必要がある!しかし、それらすべてをよく見てみると、レースに出て結果を得たり、バイクを売り込むことで報酬が支払われているんだ。レースに出ているのは優れた速いライダーであるという理由だけでなく、ビジネスで成り立っているんだ。しかし、チームはある意味でそのすべてから守ってくれるような快適な雰囲気を作り出している。僕のクルーチーフ、ペラ・リバ、彼とは素晴らしい関係を築いているんだ。そして、彼がチームでこの家族的な気分を作り出すのに一役買ってくれたのはとても幸運だと思う。僕は決してバカではないけれど、思考、気分、または感情的な側面にあまりこだわらない。ぐっすり眠って、そして文字通りガレージから出て、次に戻るまでバイクについて考えない。それは良い日でも悪い日でも。それはポジティブな強みだと思う。」

勝利数が増えるにつれて、ライバルたちからの認識の変化は気になりますか?

ジョナサン・レイ:「少しね。レギュレーションの変更は大きかった。すべてのメーカーがオープンチューニングを行うことができた過去は、僕たちのバイクははるかに競争力があったからね。僕らは高速エンジンで、広範囲で大きなパワーを生み出すことができた。だから、主催者が2018年に回転数制限を導入したとき、上限として14,100 rpmの範囲で、僕らはどのチームよりも得るものが少なかった。「アンチ・カワサキルール」だと感じたから、俄然勝利へのやる気が出たよ。逆効果だったね!認識が変わったり、課題が発生したりすると、勝つためのモチベーションが高まるんだ。」

 

長期的に見て、WSBKからの撤退を検討していますか?

ジョナサン・レイ:「スーパーバイクの環境は非常に快適なので、何か僕を熱くさせるものがあればね。僕はスーパーバイクを心から楽しんでいる、そして最も重要なことに、競争力があり、レースに勝つことができるバイクに僕は乗ることができる。それが最終的に僕を駆り立てるんだ。僕は6歳の時から50ccのモトクロスバイクで優勝してきた。たとえばMotoGPのような他の何かを検討するには、ファクトリーライドのような具体的なものが必要だが、それは決して実現しない。それに加えて、33歳になった今、さらに多くの世界タイトルを獲得したとしても、今はチャンスが来るとは思えない。これからは歳をとるだけだからね。 スーパーバイクが僕の世界であることに対峙しなければならないと思う、そして僕はそれに本当に満足している。レース後に関しては、2人の幼い子供がいるので、モトクロスのパパ、またはサッカーを応援するパパなどになるかもしれないね。しかし、人生のこの段階では、スーパーバイクが僕にとって最適な場所だと思う!」

 

レース以外で、バケットリストにある3つのことを教えてください。

ジョナサン・レイ:「アナハイムスーパークロスに行って楽しみたい。ラスベガスのモンスターエナジーカップに行ったことがあるけど、第1戦には行ったことがないんだ。たくさん騒がれているからね。引退後も全国規模のモトクロスチャンピオンシップレースをやりたいと思っている。おそらく、アルスターや北アイルランドチャンピオンシップレースのように、北アイルランドならではのレースになるだろうね。モトクロスバイクにはほぼ定期的に乗っているので、やってみたいんだ。そしてそれ以上は、あまり多くの目標はないね。空港へ、ホテルへ、そしてサーキットに行って帰宅するのではなく、世界中を旅して実際にそれを吸収して楽しむことかな。誰もが「世界中を旅して、全部を見てきているじゃないか」と言うけれど、僕はいつも『違うんだ、僕は世界を知らないんだ!』と答えている。しかし今は、自分が情熱を注いでいることができて、ただただ最高さ!」

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