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Friday images from the 2019 World RX of Spain
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World RX -アンドレアス・バックラッド率いるRXカルテル、次期WRXチャンピオン獲得に期待

Nov 182019

 スポーツはプレイヤーのキャラクターを作るのではなく、さらけ出す。アンドレアス・バックラッド(Andreas Bakkerud)は、きっと君に同意するはずだ。ノルウェー出身の28歳であるバックラッドは、世界ラリークロス選手権(WRX)のスーパーカークロスをこれまで全力で戦い抜いてきた。そして今シーズンが、彼のレースキャリアの中で最も評価の分かれる1年だったことが明らかになった。

南アフリカのケープタウンで行われた今シーズンの最終戦の結果、バックラッドは2019年のタイトル勝者と同一スコアを獲得したが、優勝回数の関係により、ドライバーズタイトルを手中に収めることはできなかった。だが今年、新しいファンやバックラッドを支える画期的なチームの存在によって、WRXがバックラッドをチャンピオンとして必要としていたことが、これまで以上に浮き彫りになったのだ。ここではその理由に迫っていく。

まず、今日までの背景を明らかにする為に12カ月間を振り返る。WRXの参加車両は、ガソリンを燃やす内燃機関を動力とする代わりに、バッテリーを搭載した電動に移行するという話題が浮上し、パドックを駆け巡った。FIA主催の世界選手権の中で最も歴史の浅いWRXに関与していたマニュファクチャラーたちは、次々と撤退を表明。フォルクスワーゲンのペター・ソルベルグ(Peter Solberg)、アウディのセバスチャン・ローブ(Sebastian Loeb)、および世界チャンピオンのタイトルを2度獲得したヨハン・クリストファーソン(Johan Kristoffersson)といったビッグネームが相次いで、2019年はWRXのシーズン戦に参加しないことを宣言した。その結果、選手権がもはや成り立たなくなる事態にまで追い込まれた。チャンピオンのタイトルを逃し、一度も勝利を得られなかったシーズンを終えようとしていたバックラッドにとって、この状況は更なる追い打ちをかけることになった。

「あの時は本当にクレイジーで、困難な状況だった。僕は2016年と2017年の2シーズンを、ケン・ブロック(Ken Block)と共にフーニガン・レーシングで過ごした。そして、フォードがWRXから撤退したときに、すべての状況が激変したんだ。僕は2018年、マティアス・エクストローム(Mattias Ekström)が率いるEKSアウディと契約を結んで、彼と一緒にレースをすることになった。タイトル争いに再び加わる可能性を手に入れたのさ。ところが、2018年シーズンが終わるとアウディはチームへの資金提供を停止することにした。僕はドライバーズシートを失って、また同じ状況に陥ったんだ。最悪だったよ!」と、バックラッドは自身の過去を振り返った。

 

「今僕がWRXで手に入れたいたった1つの成果は、世界チャンピオンタイトルの獲得だ。僕は、あと少しでタイトル獲得というところに何度も近付いた事がある。その時何を感じたか、また、再びタイトルを狙う機会を奪われる気持ちがどのようなものか、説明するのはとても難しい。ファクトリーがサポートするチームに所属した経験がある場合は、特にそうだと思う。」

 

「正直に言うと、僕はラリークロス以外のレースに出た経験がない。だから、ラリークロスは僕のすべてなんだ。子供の時からラリークロスに出ていたし、大人になってもご覧の通りラリークロス一筋だ。どう表現するのが一番良いのか分からないけれど、やっぱり僕にとってはラリークロスがすべてだよ。僕は整備士として働いたことがあるし、除雪車を運転したこともある。ヒッチハイクしてイベント会場まで連れていってもらったこともある。もう一回ドライバーズシートを獲得する為に、節約も含め、できることは何でもやってきた。」と、彼は続けた。

昨年の冬期、そして今年の初旬、2019年シーズンが始まるまでの間、バックラッドはまさにこの言葉通りに努力を重ねた。そして、バックラッドとリアム・ドーラン(Liam Doran)、及びモンスターエナジーの間で行われた土壇場での折衝がついに合意に至ったのだ。更にラッキーなことに、バックラッドは様々なチームにおいて3シーズン以上もナンバー2のドライバーとして過ごした後、新チームでは、対等のドライバー同士としてペアを組むことになった。この体制は彼にとって理想的だった。バックラッドとドーランは、2013年に成功を共に獲得した仲だ。この年の成果によって、バックラッドはラリークロスの最高峰クラスへと昇格した。そして言うまでもなく、この2人の活躍によってチームは2013年のFIAヨーロッパラリークロス選手権で成功を収め、2人は歴史に名を残したのである。バックラッドもドーランも、共にキャリアを積んでステップアップを目指すことに合意していた。

 

RXカルテルへの加入

 

「2013年、ヨーロッパ選手権でドーランと共に初めてスーパーカーを走らせた。僕らはチームとして一緒に4勝を挙げ、たくさんの事を学んだ。だから、またドーランと一緒にタッグを組めるのは、お互いにとって良い事であると分かっていたよ。また、この契約で、僕が初めてラリークロスのスーパーカークラスでのキャリアを開始した時にサポートしてくれたモンスターエナジーと再び一緒に仕事をすることになった。僕が初めてスーパーカークラスで走った年に、僕らはパドックで最も成功したチームになれたんだ。こんなことを言うとドーランは嫌がるかもしれないけど、ある意味彼は、僕にとって兄弟のような存在だ。僕らは戦って、競争して、常に勝ち負けを繰り返している。ドーラン以外の誰かと一緒にパドックでチームメイトの関係になるなんて、まったく想像できなかったよ。ドーランは、2016年に色々なことを経験してから、ラリークロスで居心地のいい場所をずっと探していたんだ。ドーランは本当に素晴らしいドライバーだよ。技術的な知識の豊富さで、彼の右に出るドライバーはいない。今年は、お互いそれぞれのやり方で取り組もうとしていたんだ。」と、バックラッドは回想する。

 

「こうしてRXカルテルが誕生したのさ。当たり前だけど、僕らはレースで勝ちたい。勝ちたいと思わないチームなんかいないよね?僕らはスタイリッシュで、且つこれまで誰もやったことがない方法で勝利を手に入れたかった。以前僕が所属していたチームでは、スポンサーが求めるままに必要なことをやっていた。同じチームウエアを着て、同じスポンサーのイベントに参加して、同じトークを繰り返す。そんな胸糞の悪いことを、このRXカルテルという新しいチームでは絶対にやりたくなかった。」

その後の7ヶ月で、バックラッドとドーランの2人は本当にその慣習を打破した。アブダビで開催した選手権の開幕戦で新チームが発表されてから南アフリカでの最終戦で勝負の決着がつくまでに、2人はWRXカナダラウンドでの優勝を含めて表彰台を6回獲得した。また、WRXを題材とした映画に出演し、1920年台のギャングに着想を得たスーツを着て記者会見にも臨んだ。2人は、オンラインとグランドスタンドの両方において、ラリークロスの新しいファンを増やすことに貢献したのだ。もがき続けたシリーズ戦を通じて大勢の新しいファンが生まれたが、必ずしもレースの結果だけがきっかけではなかった。

 

変革の時

 

「RXカルテルはゲームチェンジャーであり続ける。これは僕らが望んでいたやり方だ。僕らはファンのみんなが届けてくれる反応にわくわくしているよ。僕らが頑張っている理由はそこにあるからね。ラリークロスのチャンネルとして、インスタグラムで12,000人以上もフォロワーが増えるなんて信じられないよね。アブダビでの初戦の後、僕らは週末に短い映画を製作した。ドーランは表彰台に上がったとはいえ、レース結果としては散々だった。僕は車を壊した上にラップ数のカウントを間違えてしまった事で、約90,000ユーロに及ぶ大損害を被った。映像では、この一連の出来事を創造的な方法で表現してみた。ハリウッドのB級映画のスタイルが、WRXとコラボしたと考えて欲しい。オンラインでの評判はクレイジーだったよ。大半の人々が映像を気に入ってくれた。こんな作品は今までに見たことがないと口々に話してくれた。しかしこれが原因となって、第2ラウンドのバルセロナで僕はレースオフィシャルに呼び出しをくらった。主催者は僕らの事を理解してくれなかったけれど、視聴者はしてくれたよ。」

 

「残念だけど、問題の原因はそこにあると思う。モータースポーツの世界には、新世代のファンたちを認めようとしない人たちがたくさん存在している。レース当日にお揃いのチームシャツを着て、車に乗る前にマイクに向かい、台本に書いてあることだけを話すのが全てではないはずだ。みんなそういうのにはもう飽き飽きしている。僕らドライバーは、レーストラックでは誰よりも速くなければいけないけど、トラックの外でもやはりエンターテイナーでいなければならないと思う。」と、バックラッドは続けて語る。

カナダではスノーモービルを楽しんだり、スペインではマネーガンの射撃に挑戦したり、さらに、3度のWRXチャンピオンであるペター・ソルベルグのパロディーを繰り返し演じたりもしている。ぜひ目を通してみて欲しい。更には、各界の著名人からの支持も大いに増えた。UFC所属の格闘家、エミル・ミーク(Emil Meek)、ポップスターのシェイン・リンチ(Shane Lynch)、レーシングドライバーのニコラス・ハミルトン(Nicolas Hamilton)、更にNitro GamesのFMXライダーであるビルコ(Blake 'Bilko ' Williams)らは、RXカルテルがモータースポーツに対して仕掛ける新たなアプローチに賛同している。

 

2020年の戦いの行方

 

「当たり前だけど、南アフリカで上手く戦うことができなかったのは僕にとって強烈な痛手だ。優勝して年間タイトル獲得に繋がる事は、できる限りやった。優勝回数の差でチャンピオンシップ獲得の機会を失ったのはものすごく悔しいし、そんなことを望むドライバーなんて1人もいない。その一方で今年、僕らはまったく新しいラリークロスのファン層を勝ち取った。これは、どのチームよりも努力したと胸を張って言える成果だよ。みんなにはずっとラリークロスのファンでいて欲しいし、RXカルテルをずっと応援して欲しいからね。」

 

「チャンピオンシップは今まで以上に制限が厳しくなり、重要視されている。多くのレースが電動化され、そうでなくても小排気量のエンジンを積んだマシンで競い合うようになっている。今は試練に耐える時期だけど、グループBのレースがステロイドで強化されているように、ラリークロスも全力でレースをやるよ!噴き出る炎、ぶつかり合う車体、600馬力のフルパワーだ!ラリークロスには、退屈で予測可能なレースなんてない。RXカルテルについても同じことが言えるね。」と、バックラッドは続けて語った。

 

バックラッドとRXカルテルは惜しくも2019年のWRXチャンピオンを逃したが、1つだけ確かなことがある。彼らは、WRXには欠かせない存在であるということだ。

さあ、次の2020年に新たな戦いを始めようではないか。

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