「僕は最終的に100%の力を尽くしたけど、まだこれで終わりではないと思っている。2020年に向けた僕のモチベーションは、とても高まっているよ。」
カル・クラッチロー(Cal Crutchlow)は、2011年にMotoGPに参戦し、その年にモンスター・ヤマハ・テック3のライダーとして名誉ある、ルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得した。そして、クラッチローはフランスのチームであるテック3在籍中、2012年に初の表彰台を獲得した後、ポールポジションを何度も記録しながら計6回の表彰台を獲得。2014年にはドゥカティ・チームへ移籍した。
その翌年、2015年にLCRホンダからレースに参戦することになったクラッチローにとって、2016年は自身最大の栄光を手にするシーズンとなった。降雨に見舞われたブルノで開催されたチェコGPでは、イギリス人MotoGPライダーとして35年ぶりの優勝を獲得し、さらにフィリップアイランドで開催されたオーストラリアGPでも再び優勝を獲得した。2016年にインディペンデントチームのトップライダーとなったクラッチローは、2017年にも再び表彰台を獲得し、さらに2018年と2019年もLCRホンダに残留してレースに参戦した。そして2019年シーズンの前半には好調なスタートを切ったが(クラッチローは3回の表彰台を獲得)、MotoGP世界選手権ランキングでは総合9位でシーズンを終えている。
そして、MotoGPは現在、他のほぼすべてのモータースポーツレースと同様、今年のシリーズ戦をいまだに開幕できない状態が続いている。だが、カル・クラッチローは、物事を順調に進めたいと望んでいる。MotoGPのキャリアに陰りが見え始めたことで、2020年シーズン中に引退するのではないかと噂されたイギリス人レーサーであるクラッチローは、昨年の10月、オートスポーツに対し、「自分の将来に関しては、現役を続けたい。僕にはスピードがあるし、まだ勝つことができるということを証明したい。今は状況があまり良くないね。だから僕は現役を続行する必要がある。」と話している。MotoGPの2020年シーズンが新型コロナウイルス感染拡大によって翻弄される中、クラッチローは妻のルーシーと幼い娘ウィローと共にイギリスを出国し、ここ数週間は、アメリカのカリフォルニア州サンディエゴの郊外で、ドルナによるMotoGP戦の開幕地の決定と行き先の指示を待っている。筆者は、すっかりカリフォルニア州民の気持ちで過ごしているクラッチローを訪ね、インタビューを試みた。「僕らは元気だよ。」とカリフォルニアで移住生活をしているHRCの快活なトップライダー、クラッチローは言った。「新型コロナウイルスから身を守るために、じっと息を潜めているんだ。僕らは、サンタ・フェ・スプリングズの近くにいる。君から連絡をもらってとても嬉しいよ。」