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Shots from qualifying day at MotoGP Brno
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MotoGP -カル・クラッチロー、滞在中のカリフォルニアにてレースへの準備と意気込みを語る

May 072020

 「僕は最終的に100%の力を尽くしたけど、まだこれで終わりではないと思っている。2020年に向けた僕のモチベーションは、とても高まっているよ。」

カル・クラッチロー(Cal Crutchlow)は、2011年にMotoGPに参戦し、その年にモンスター・ヤマハ・テック3のライダーとして名誉ある、ルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得した。そして、クラッチローはフランスのチームであるテック3在籍中、2012年に初の表彰台を獲得した後、ポールポジションを何度も記録しながら計6回の表彰台を獲得。2014年にはドゥカティ・チームへ移籍した。

その翌年、2015年にLCRホンダからレースに参戦することになったクラッチローにとって、2016年は自身最大の栄光を手にするシーズンとなった。降雨に見舞われたブルノで開催されたチェコGPでは、イギリス人MotoGPライダーとして35年ぶりの優勝を獲得し、さらにフィリップアイランドで開催されたオーストラリアGPでも再び優勝を獲得した。2016年にインディペンデントチームのトップライダーとなったクラッチローは、2017年にも再び表彰台を獲得し、さらに2018年と2019年もLCRホンダに残留してレースに参戦した。そして2019年シーズンの前半には好調なスタートを切ったが(クラッチローは3回の表彰台を獲得)、MotoGP世界選手権ランキングでは総合9位でシーズンを終えている。

そして、MotoGPは現在、他のほぼすべてのモータースポーツレースと同様、今年のシリーズ戦をいまだに開幕できない状態が続いている。だが、カル・クラッチローは、物事を順調に進めたいと望んでいる。MotoGPのキャリアに陰りが見え始めたことで、2020年シーズン中に引退するのではないかと噂されたイギリス人レーサーであるクラッチローは、昨年の10月、オートスポーツに対し、「自分の将来に関しては、現役を続けたい。僕にはスピードがあるし、まだ勝つことができるということを証明したい。今は状況があまり良くないね。だから僕は現役を続行する必要がある。」と話している。MotoGPの2020年シーズンが新型コロナウイルス感染拡大によって翻弄される中、クラッチローは妻のルーシーと幼い娘ウィローと共にイギリスを出国し、ここ数週間は、アメリカのカリフォルニア州サンディエゴの郊外で、ドルナによるMotoGP戦の開幕地の決定と行き先の指示を待っている。筆者は、すっかりカリフォルニア州民の気持ちで過ごしているクラッチローを訪ね、インタビューを試みた。「僕らは元気だよ。」とカリフォルニアで移住生活をしているHRCの快活なトップライダー、クラッチローは言った。「新型コロナウイルスから身を守るために、じっと息を潜めているんだ。僕らは、サンタ・フェ・スプリングズの近くにいる。君から連絡をもらってとても嬉しいよ。」

「そうだなあ、僕はまだ外出できるし、自転車に乗ることもできるから、とてもラッキーだよ!」

カル、君からもらったメッセージの中で、南カリフォルニアの拠点に滞在していると言ってたけど、イギリスに帰国したものだとばかり思っていたよ!

そうなんだよ。僕らはここ、カリフォルニア州のランチョ・サンタ・フェに来ている。今シーズンの第1戦が中止になってすぐに、エリックと僕はルーシーに言ったんだ。「最初のレースはオースチンで開催されることになるだろう。だからカリフォルニアへ行こう。そうすれば、開幕する時、既に僕らはそこに到着していることになるから」とね。だから僕らはここへ来たんだ。オースチン戦の前からカリフォルニアにいることになるよ。少なくとも1ヶ月以上は経っているね。今、僕らはサンディエゴに滞在している。ここに家を所有していて、この晴れた天気を最大限に楽しんでいるんだ。ここにはちょっとした広さの土地もあるから、僕らは本当に恵まれているよ。ルーシーとウィローは、今のところ外出していない。街はロックダウン状態だからね。それでもウィローは外へ出られるし、プールにも入った。ウィローとルーシーはここでのんびりと幸せに過ごしている。良いことだよ。

ロックダウンが続く中、モチベーションを維持しながら、オフタイムにこれまでどんなトレーニングをこなしてきたのですか? あなたが熱心なサイクリストであることを存じています……。

そうだなあ、僕はまだ外出できるし、自転車に乗ることもできるから、とてもラッキーだよ!ご承知のとおり、自転車に乗ってばかりいるよ。自転車に乗るのは本当に楽しいから、1週間を通して何時間もサドルに跨ってペダルを漕いでいる。ここカリフォルニアでは外出ができるから、他の人との距離を保ちつつ1人で自転車に乗っているよ。君が言ったように、レースが再開される見通しは立っていないから、自分のコンディションを維持する必要があるんだ。状況が変化していく通りに受け入れるしかない。今は、バイクのレースのことを心配するより、もっと大切なことを世界規模で考えなければならないと思う。とは言うものの、数カ月後、またはシーズンの終盤になって急にレースが開催される場合に備え、いつも準備を万全に整えておく必要があるんだ。

「僕は、この状況に関しては、FIM、ドルナ、そして国際ロードレーシングチーム協会(The International Road Racing Teams Association/IRTA)が素晴らしい仕事をしてくれていると思う。現時点でレースバイクに関するルールは凍結されているから、すべてのチームとメーカーは開発を続行することができない。これによって完全な公平性が保たれている。」

今年の夏や秋には、MotoGPのレースは開催されるようになるでしょうか?どうお考えですか?

うん。心からそう願っているよ。僕は、この状況に関しては、FIM、ドルナ、そしてIRTAが素晴らしい仕事をしてくれていると思う。現時点でレースバイクに関するルールは凍結されているから、すべてのチームとメーカーは開発を続行することができない。これによって完全な公平性が保たれている。そして、さっき言ったように、ドルナは素晴らしい仕事をしていると思う。各地方の自治体やその他の状況について常に最新情報を把握して僕らに知らせてくれるからね。僕は、シーズン終盤にはレースを開催できると思っている。僕は心からそうなることを願っているし、ファンが観戦できるレースが開催されることを願っている。でも、絶対に安全性を確保した上での開催でなければならない。1つのレースには20万人もの人々が集まることになるわけだから、すべての人々の安全が確保されてから開催する必要がある。僕らはレースをするし、同時にエンターテイメントのビジネスを展開しているんだ。だからこそ、サーキットでレースをし、大勢の観客に楽しんでもらうことが一番好きなんだ。うまくいけば、僕らはレースを始めることができる。そしていったんレースが始まれば、ファンのみんなにもサーキットに来てもらえる。

ホンダやLCRホンダ・カストロールのレースチームとは密接なコミュニケーションを取っていますか?

そうだね。僕は自分のチーム、マニュファクチャラー、およびHRCとは密に連絡を取り合っているし、LCRホンダ・カストロールのメンバー全員と常に話し合っているよ。HRCや日本にいるボスたちとも常に話し合っていて、この状況をしっかりと受け止め、前向きな姿勢で臨もうと考えているんだ。また、その一方で、スポンサーのみなさんとも話をしている。僕は、(カリフォルニア州コロナに拠点を置く)モンスターエナジーの人たちとも毎日連絡を取り合っている。ロドニー・サックス(Rodney Sacks)(モンスターエナジーの最高経営責任者)とも話をした。この状況ではそれがとても大切だ。彼らは、僕たちがMotoGPに出場するためのスポンサーであるわけだけど、彼ら自身も素晴らしい人々であり、大切な友人だ。彼らの近況を聞いて、物事がうまく進んでいるかどうかを確認できるのはとても嬉しい。この状況で僕らが彼らのためにできることは、レースを再び開催できるようになった時のために、プロモーションを続けてさらに盛り上げていくことだよ。僕はそういったことをやるのが好きだし、あらゆる面で負けたくない、強くありたいと思う。

2020年に引退するという話もありました。私が数日前にジョナサン・レイ(Jonathan Rea)と話した時、以前は彼も引退を熟考している模様でした。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大が起こり、レイは北アイルランドへ戻ってレース再開まで待機することになり、引退の話が棚上げとなった時、レイは、ほとんど何もしないでいる状態は退屈で、飽き足らないと話してくれました。この件についてどう思いますか? つまり、このコロナウイルスによる逆境は、あなたにとって引退に対する「試練」になるかもしれないと感じますか?

ああ、どうだろうね……。自分を取り巻く状況については、これまでやってきたこと、そして、達成したことにも満足している。これまで楽しく積み上げた素晴らしいキャリアもある。もっと良くなっていたかもしれないし、もっと悪くなっていたかもしれない。最終的に僕は100%の力を尽くしたけど、まだこれで終わりではないと思っている。僕のモチベーションは、とても高まっているよ。昨年末の段階でさえ、僕は2021年も現役でいられると話した。モチベーションもあるし、レースを続けたいという気持ちが強い。今年はレースが始まる前から、ホンダとは契約更新について既に話し始めているわけで、この空白期間があるからといって、その点で何かが変わるわけではない。今年がどうなるか、様子を見ようじゃないか。

「よし。準備完了だ。いつでも行ける。足首の調子も良い。とても快調だ。トレーニングも十分に重ねたと思う。心身ともに健康で、いつレースが始まってもいいように準備が整っている。」

MotoGPのプレシーズンテストでは、かなり粘り強く取り組んでましたね。実際、セパンでのテストでは1人で64ラップも走行していました。どんな感じでしたか? マシンのフィーリングはどうでしたか?

まあ、そうだね、エンジンやその電子制御に関しては、ホンダは一歩踏み出したように感じるよ。最初、バイクの旋回性に少し問題があった。そしてカタールでは、去年より少しだけ旋回性が劣っていた原因を見つけることができた。でもそれがすべてだった。僕は、少しでもチャンスがあればレーストラックを周回し、ホンダとエンジニアたちに情報を提供する。彼らは、極めて優秀で、僕らのために一生懸命働いてくれる人たちなんだ。これらはすべて、バイクを改良し、多くの周回を重ねるために非常に重要なキーポイントとなる。時には、テストはそれほど有益ではなく、あまりにもたくさんのテストを実行しても効果が得られないこともある。だけど僕は、チームのみんなと協力して、多過ぎず少な過ぎず、ほどよいテストのバランスを取ることができたよ。僕はさらに良い情報を提供し、フィードバックを返して、彼らにその情報を確実に届けることができる。僕は長年、多くのテストを重ねるライダーでありつづけてきた。そうだよ。僕らはベストを尽くす。間違いない。よし、準備完了だ。いつでも行ける。足首の調子も良い。とても快調だ。トレーニングも十分に重ねたと思う。心身ともに健康で、いつレースが始まってもいいように準備が整っている。だけどその一方で、僕らは数ヶ月間レースをしていないことも理解している。だから、今すぐに綿密な準備の時間を確保する必要がある。さっき言ったように、この時期は健康を維持しながら、少しは楽しく過ごす必要もある。こんな状況だけど、素晴らしいこともある。ウィローはアイスクリームが好きなんだ。僕もそう。僕らは一緒に美味しいアイスクリームを楽しむけど、いざレースが始まると言うなら、準備は完了している。間違いない。

さて、私はいつもこのことをあなたに質問したかったのですが……、マイク・ヘイルウッド(Mike Hailwood)、ジェフ・デューク(Geoff Duke)、ジョン・サーティース(John Surtees)、バリー・シーン(Barry Sheene)、およびフィル・リード(Phil Read)。彼らはみなMotoGPで成功を収めた歴史に残る壮大なライダーたちですが、彼らはあなたにとって重要な存在ですか? あなたはこれまで、彼らについて考えたことがありますか?

いや、そうでもないよ。もちろん、彼らの残した偉業がとても重要なことは知っている。そうでもない、と言ったのは、僕は彼らの記録を気にしないという意味なんだ。僕は、レースのある週末の最初から最後までベストを尽くすだけだ。35年ぶりにようやく優勝を獲得したイギリス人ライダーになったことは大きな成果だった。おそらく何らかの形で、MotoGPの歴史本に書かれるよね。シーンは、35年前に優勝した。僕のバイクナンバーは35番で、イギリス人が優勝を奪還するのに35年かかった。こうして、彼ら偉人たちと同じ文脈で僕のことが話題になるのはかなり畏れ多いことだし、僕らもそう言っている。彼らは、僕がやってきたことよりもはるかに多くのキャリアを積み上げたんだ。僕自身も楽しんだし、素晴らしいキャリアも持っている。だけど彼らは年間タイトルも獲得したりしているしね。歴史に名を残したライダーたちが何を成し遂げたかを振り返ることができるのは素晴らしい。僕自身は、記録や統計の観点から彼らを判断することはない。僕は各レースに全力で臨み、そのレースでできる限りのベストを尽くすだけだ。

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