次のパシフィコ女子スノーボード・ビッグエア決勝では、これまでの期待値をすべて覆した。というのも、参加者最年長、カリフォルニア州レイクタホ出身30歳のジェイミー・アンダーソンが、スタイルと一貫性の点でマスタークラスのパフォーマンスを披露したからだ。既に金曜日にスロープスタイルで金を獲得した後、アンダーソンはビッグエアの練習のほとんどをスキップし、先入観なしで、そして数多くのトリックを携えて決勝に臨んだ。
特徴的な非常に巧みなスタイルで、アンダーソンは最初のトリックとしてキャブ・ダブル900ウェドルグラブで決勝戦のランを始めた。オリンピックで2度メダルを獲得している彼女は、そこから2本目のランでフロントサイド・ダブルコーク1080を含め立て続けに完璧なトリックで44ポイントを、3本目のランで高度にテクニカルなキャブ・バックサイドダブルコーク1080で45ポイントを獲得し、難易度をあげた。総合スコア89ポイントで、アンダーソンはビッグエアで初めての金メダルを、この大会でこれまでに獲得しいていた2つの銅メダルに追加した。
「今日の決勝では、ただフロント10とキャブ10を決めたいだけだった。他の選手でもそれを決めていたのを知っている。クリーンに、そして楽しむことで、一貫性が持てると思った」とモンスターエナジーのジェイミー・アンダーソンは、日曜日アスペンで女子スノーボード・スロープスタイルの金を決めた際に語った。
ジェイミー・アンダーソンは、日曜日のビッグエアへの参加時点ですでにX Games史上最も多くのメダルを獲得している女性アスリートだった。現在、その数は19(金メダル8個、銀メダル7個、銅メダル4個)となり、レガシーは拡大している。アンダーソンはまた、金曜日にX Games Aspen 2021でスノーボード・ナックルハックに出場した初の女性スノーボーダーとして新境地を開拓している。
ビッグエアの表彰台にアンダーソンと上ったモンスターエナジーのゾイ ・サドフスキシノット(Zoi Sadowski-Synnott)は、入賞に向け奮闘したが、粘り強さが報われた。ニュージーランドのワナカ出身、19歳のサドフスキシノットは、ゲートを出てすぐの70フィート(約21メートル)のギャップを越える最初のエアでコントロールを失った。しかし、彼女は図太く、2本目のランで44ポイントの高速回転フロントサイド1080リーエングラブで着陸して復活した。
勢いよく3本目のランを開始し、サドフスキシノットは彼女にとって4回目の試みで、巨大バックサイド1080ウェドルグラブで表彰台への登壇を確定させ、合計スコア86ポイントで銅メダルを獲得した。
「ビッグエアのレベルが現在非常に高いため、表彰台に上がれたことは驚きだった」と日曜日のビッグエアで銅を獲得したゾイ ・サドフスキシノットは語った。このルーキーもまた、X Games スロープスタイルで金メダル2つ、そして合計5つのメダル(金メダル2個、銀メダル2個、銅メダル1個)を保持している。
日が暮れると、モンスターエナジー男子スノーボード・スーパーパイプはスコッティ・ジェームス(Scotty James)と日本の横浜出身、19歳のモンスターエナジーチームライダーの戸塚優斗との決戦の話で持ち切りとなった。
X Games Aspen 2020で、戸塚が2度目のX Games銀メダルを獲得する一方、優位に立ったのはスコッティ・ジェームズだった。しかし、現在競争の激しいスノーボードにおけるこの最大のライバル関係で潮目が変わっている。戸塚は、最近2回の遠征である2020年 U.S.オープンと2021年ラークスオープンで、ジェームズに勝っている。
X Games連覇が危うくなっていた。そして、それは現実のものとなった。
戸塚は1本目のランで、決着をつけるため、13フィート5インチの高度で巨大フロントサイド・ダブルコーク1440ウェドル、続いて立て続けに1260、1080、900、そしてフロントサイド・ダブルコーク1260を最後の壁で16フィート8インチの高さで決め、エアで攻めた。
しかし、ハーフパイプ天才日本人ボーダーのすぐ後に登場したスコッティ・ジェームズは、さらに高いエアとよりテクニカルなローテーションで反応し、戸塚を2位に落とす。
戸塚が2本目のランをさらに高い1260で始めたとき、空気が緊迫しているのは明らかだったが、残念なことにコントロールを失ってしまった。さらに、新人の平野流佳の2本目のランで抜きに出て、戸塚は3位に転落。それにより、競争は増々リアルになっていく。
戸塚優斗は、フロントサイド・ダブルコーク1440ウェドルグラブを、続いてキャブ・ダブルコーク1260からスイッチ・フロントサイド・ダブルコーク1080インディ、バックサイド・ダブルコーク1260、フロントサイド・ダブルコーク1260を最後の壁に送り出した。卓越した技術、完璧なパフォーマンス、そして13から16フィートの範囲のコンスタントな高さで、戸塚優斗は初めてX Gamesスーパーパイプで金を獲得した。
スノーボード・ハーフパイプ種目の進化をリードするアスリートの1人として知られる戸塚優斗の記録は、3つのX Gamesメダル(金メダル1個、銀メダル2個)へと拡大している。日本で2度ハーフパイプの王者になっている戸塚は、2018年と2019年にFISワールドカップのクリスタルグローブを、そして2020年に切望していたUSオープンのタイトルを獲得している。
スノーボード・エアパフォーマンスは、待望のリアルコスト男子スノーボード・ビッグエア決勝でも継続される。X Games Aspen 2021でのスノーボード競技のフィナーレとして、30分間のジャムセッションが行われた。競争の激しいスノーボード競技でのトリックの難易度と連続ローテーションの観点でハードルが上がっていた。
たった数本のランで闘いはエスカレートしていった。決勝に臨む8人のライダーは、1800度の回転、複数のコーク、右左と多様なグラブをスピンし始めた。スコアはすぐに40ポイント後半に落ち着き、50ポイント前半が1本のランに対する最高スコアになった。つまり、エリートたちによる威圧的な最終セッションが展開していったのだ。
しかし、モンスターエナジーのスヴェン・トルグレン(Sven Thorgren)はそれほど脅威に感じなかったようだ。
難しいトリックをスタイルと一貫性を持って積み重ねた、スウェーデンのストックホルム出身の26歳の彼は、決勝で自分の順位を固守した。トルグレンは70フィート(約21メートル)のギャップを越えてキャブ1620を放ち、44ポイント(50ポイント満点)の強力な基盤をその晩に築いた。仲間のスウェーデン人マーカス・クリーブランド(Marcus Kleveland)が首位で、トルグレンはフラットスピン・バックサイド1800メロンで48ポイント獲得し、続く3位。
競技終盤、トルグレンは彼がその晩の最終ライダーであることに気がついた。そして、彼はスコアを上げるためのトリックを披露した。完璧なキャブ1800ローストビーフで47ポイントをあげ、合計95.00ポイントの得点で銀メダルを獲得した。スキャンダルナビアンズ クルーとの動画編集で知られるトルグレンは、現在7つのX Gamesメダル(金メダル1個、銀メダル2個、銅メダル4個)を保持している。
公式に予定されているすべてのスノーボード競技で、バターミルクマウンテンでやり残されている唯一の種目は、週末を締めくくる。ファンに人気の、ウェンディーズ・スキー・ナックルハックだ。X Gamesで2回目の開催となるこの自由なコンテストは、「ナックル」とも呼ばれる、スロープスタイル・ジャンプランプのロールオーバーのテクニカルかつスタイリッシュな動きに焦点を当てる。
世界で最も才能のある8人のフリースキーヤーによる、ありとあらゆるトリックが日曜日の晩に期待されていた。ノーズ・テールプレス、バター、ナックルを横切るスライド、そして着地前に遥かに高く爆発的なスピンが飛び出した。しかし、またしても、全体的な印象で審査される20分間のジャムセッションにおける勝者は1人。
ハックのお祭りで傑出したものには、前回金メダリストのコルビー・スティーブンソン(Colby Stevenson)の360バターから着地に向かう900オフなどがあった。また、モンスターチームのライダー、クイン・ウォルファーマン(Quinn Wolferman)は、ノリーポップ360バターからオーリー540アウトを披露。ノルウェーの新人、フェルディナンド・ダール(Ferdinand Dahl)は、フラットセクション全体でのノーズバターから540アウト、そしてスタイリッシュなハンドドラッグからアンダーフリップへと、一貫性のある素晴らしいパフォーマンスを見せた。
ニュージーランドのジョサイア・ウェルズ(Jossi Wells)は、スイッチ360ノーズバター360や、通好みの彼特製、フェイキー・ノースピンエアなど、ナックルからの素早い動きで競技に復帰。しかし、その夜の終わりに、金のナックルメダルを勝ち取るのはたった一人のライダー。それは、29歳のフリースキーアイコンでありスウェーデン出身のモンスターエナジーアスリート、ヘンリク・ハーロウ(Henrik Harlaut)だった。
金曜日のスキー・ビッグエア決勝で表彰台を逃した後、ハーロウはこれまで以上に動じず、クリエイティブにナックルハックに挑んだ。このX Games史上最も多くのメダルを獲得しているスキーアスリートがナックルに取り組むなか、その夜の最もクリエイティブな動きを通して、彼のスキーの先端とテールを柔軟に動かしていき、ヘンリク・ハーロウのパフォーマンスは最高潮に達した。540ノーズバターから360アウト、バックサイド360からフェイキーバター、360オフテール、そしてスムーズなキャブ・バターからスイッチ540レフトなど、際立つトリックで、審査員たちはヘンリク・ハーロウに金メダルを渡す以外に選択肢がなかった。
日曜日のナックルハックの金メダルにより、獲得したメダルは13個(金メダル8個、銀メダル5個)になり、X Games史上最もたくさんのメダルを獲得しているスキーアスリートとして、ヘンリク・ハーロウのレガシーは拡大した。
これにより、アスペンでの壮大な冬季X Gamesを、チームモンスターエナジーは14個のメダル(金メダル7個、銀メダル4個、銅メダル3個)獲得という素晴らしい成績で締めくくった。すべてのアスリート、参加したすべての人、そして歴史的大会を見守ったすべての人に感謝!
また、現在も続くパンデミックという逆境にもかかわらず、世界クラスの大会を開催してくれたESPNとバターミルクマウンテンのチームにも大いに感謝したい。そして冬季X Gamesの歴史的1ページを見るためにチャンネルを合わせてくれたすべての人にたち、ありがとう!
ライブストリームを見逃してしまった? X Gamesファンは、X Games公式YouTubeチャンネルですべてのライブ放送の視聴が可能だ。X Games Aspen 2021のすべてのハイライトは、ABCで2回に分けて名場面集、『X Games Aspenアンソロジー』が放送される。パート1は2月7日土曜日東部標準時午後3時、続いてパート2は2月14日金曜日東部標準時午後3時に放送が予定されている。