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Images from the 2020 Austrian Grand Prix
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F1 Is Back: Racing As One シルバーアロー、レース再開の意気込みとインクルージョン&ダイバーシティへの希望を語る

Jul 152020

 ハンガリー人のフェレンク・シス(Ferenc Szisz)がフランスGPで優勝したのは6月の下旬。ル・マンの公道を利用したレース・トラックの周りを2日で780マイル(約1,255キロ)ほど走行し、フェレンク(そして、「同乗するメカニック」のマルトー)は2人乗り90馬力のルノーの地元で勝利を飾った。有力なライバル、フェリーチェ・ナザーロ(Felice Nazzaro)には30分の差をつけた。

それは1906年、グランプリレースが公式に開催された年のことだった。

以来、2回の世界大戦による一時的な中断を除き、ほぼ途切れることなくシーズンの開始から最後のフラッグまでレースを続け、ドライバー、チーム、ファン、主催者は皆、約114年間にわたるホイール・トゥ・ホイールアクションを楽しみ、増え続けるチーム、聴衆を魅了している。
 

世界の他の業界と同じように、F1もほぼ15週間にわたる完全な閉鎖とロックダウンに入ってから、初めて手探りでレース開催を進めているところだ。レースが再開されることは素晴らしいニュースだが、新型コロナウィルスの脅威は未だに存在している。

 

通常であれば、F1パドックは華やかさと興奮が凝縮する場所になる。おもてなしが用意された燦然と輝く建築物、国際的なメディア、VIPゲストに混ざって、レースが開催される週末にパドック・パスを利用することができれば、インフルエンサーやセレブと交流できる機会は保証されたも同じ。しかし、それはもう不可能な話だ。少なくとも現時点では。

 

今現在は、閉鎖空間での再開。プライベート・チャーター便は、F1関係者の搭乗に厳格に限定され、ウイルス検査を繰り返し、レース・トラックと滞在するホテルの両方でチームの隔離を徹底することが新たな義務になっている。フェンスの反対側では、群衆がサーキットに足を踏み入れることは認められず、報道関係者の参加は大幅に削減され、パドックへの入場が認められないばかりか、チームに近づくこともできず、サーキットに足を踏み入れるためにも72時間以内の検査で陰性であることの証明が必要となる。

2019年の終わりにアブダビで最後のフラッグが振り下ろされた時のF1の騒々しさとは明らかに異なる現実だ。ただし、他の規定がなければF1は常に進化しており、この奇妙な現実は納得できるものだと、各チームは自信を持っている。その最たる例が、メルセデスAMG F1チーム代表のトト・ヴォルフ(Toto Wolff)だ。

 

「僕は、皆が自分たちが何をすべきか知っているし、スタッフと参加者の全員を守ることが最優先事項だとわかっていると思う」とF1ボッドキャストでヴォルフは語る。「しかし同時に、それは新境地だ。これまでに体験したことのない状況であり、小さな変化について話は尽きない。他のチーム、メディアそしてファンとの交流が減ることは、新しい経験になるだろう。F1は常にポジティブな要素を見出してきているし、土曜日と日曜日に素晴らしいショーを提供することができれば、この奇異な状況も報われるはずだ。」
 

この記事の執筆時点では、8レースが予定されている。その他の予定はまだ確定していない。一覧表で提示されている10週にわたって開催されるエキサイティングな8つのグランプリには、前例のない、7月から8月のブリティッシュ・グランプリ2週連続開催が含まれており、F1の新しい日常を可能な限り堅実にスタートしている。

 

すべての変化と混乱の中で、これまでと変わらないことが一つある。勝利して1番を目指すことだ。前回の優勝者であり、ワールド・ドライバーズ・チャンピオンを6度獲得しているルイス・ハミルトン(Lewis Hamilton)は、誰よりもそれを目標にしている。ハミルトンにとって、新しく見直されたシーズンはいつもより遅れての始動になるが、サーキットでインパクトを残す機会でもある。

 

「シルバーストーンで簡単なテストを終了した。マシンに戻れて本当に良かったよ、ずっと待ちわびていたんだ。シーズンをまだ始めていないなんて、8歳の時以来初めてのことだ。大好きなことに打ち込んで生きているとき、そこには当然孤独感がある。レースから遠ざかっていた時間は自分と向かい合う機会になったよ。」

 

「無観客でレースが行われると最初に聞いたとき、とても虚しくなった。なぜなら、ファンがレースを作ってくれるからね。世界中どこでも、レース会場ではサーキットにいるファンが多いほど雰囲気が増すんだ。チームとして、自分たちにとって、ファンのいないレースはテストの日と変わらない。おそらく、テストの日よりもひどいよ。大勢の人は集まらないけど、それでもテストの日には数人は集まるからね」とハミルトンは説明する。

 


グランドスタンドにファンがいないこと、そしてパドックが混雑していないこと以外にも、今年のF1グリッドにはもう1つ重要な変更点がある。ハミルトンとヴァルテリ・ボッタス(Valtteri Viktor Bottas)がハンドルを握る2020年のメルセデス-AMG F1 W11 EQ Performanceは、新しいカラーリングを誇らしげに披露するだろう。ただ黒の塗装が素晴らしいという話にとどまらず、このマシンのカーボンファイバースキンの色変更は、あの世界的に重要な議論の核心に踏み込んでいるのだ。

「自分たちが声をあげ、そして僕らのグローバル・プラットフォームを利用して、尊重と平等を表明したいんだ。そして、シルバーアローは、2020年シーズンすべてのレースに黒いマシンで参加し、自分たちのチームとスポーツにおけるさらなる多様性に向けたコミットメントを示すつもりだ。この分野における自分たちの弱み、そして自分たちが継続して果たすべき前進に向き合うつもりだ。このカラーリングは、積極的な行動を起こすという公約だ。人種差別やその他の差別は、自分たちの社会、競技、チームでは容認できない。これはメルセデスの核となる信念だ。しかし、正しい信念と正しい考え方を持っていても、声をあげなければだめなんだ」とヴォルフは説明する。

カラーリングの変更に尽力したハミルトンは、「人種差別やその他の差別という深刻な問題に目を向けたこのチームを誇りに思う。偏見を持たず、過去と現在の教訓から学び、より良く、より平等でインクルーシブな未来のために心から一緒に活動する意欲を持てるように、彼らは対策を講じている。シルバーアローは何十年もの間優れたリーダーであり、インクルージョンとダイバーシティを僕たちが進めていく、彼らにとって新しい時代を示しているんだ。僕らにはやるべきことがたくさんあるけれど、一緒にこの競技を変えるように促し、この業界の他の人々が続くように火付け役になることができると確信しているよ」と語る。

ハミルトンのメルセデスでのチームメイト、ボッタスは、その理念を後押しできることを同じように誇りに思っており、「F1は成績で決まる世界だけれど、それでも伝統的にこの競技に属してこなかったバックグラウンドを持つ人々に対して多くの障壁がまだ残っている。彼らが、僕たちが属している社会を代表するようになって、チームがさらに強くなっていることを僕たちは知っている。団結して、変えていくことへの強い意志を示すことが重要なんだ。人種差別やその他の差別は、僕たちの競技、そして社会でも容認できない。この重要な意思表明で、チーム、ルイス、そしてメルセデスベンツと共に立ち上がることに誇りを感じるよ」と付け加えている。

3月にメルボルンに戻ってきた時、ハミルトンは7回目のドライバーズ・チャンピオンシップ獲得に向けてこれまで以上に貪欲に努力しており、メルセデスはこのシーズンでも好ましい状態でスタートを切っていることがパドックとグランドスタンドを通して感じられた。7回目のドライバーズ・チャンピオンシップ獲得は、変わらずに記録を保持しているミハエル・シューマッハ(Michael Schumacher)に並ぶ成績であり、F1史上最も偉大なドライバーの1人として彼の名を永遠に刻むことになるだろう。
 

シーズンが短縮されると期待まで変わってしまうだろうか? それとも、シーズン前の予測に変化が生じるだろうか?1つ確かなことは、ザ・シルバーアローズとしてかつて名を馳せたチームが、負ける方に賭けてはいけないということだ。

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