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Day 1 images from the 2018 Nitro Olympx
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ドラッグレース - 1万馬力のモンスターマシンを操るインディア・エルバッカーに迫る

Aug 292018

 

臨戦態勢が整い、23歳のインディア・エルバッカー(Jndia Erbacher)は1万馬力を誇り、雷鳴を轟かせて走るトップフューエルクラスのドラッグカーのハンドルを握る。レースの開始を告げるクリスマスツリーのグリーンライトが点灯するやいなや、インディアはスロットルを全開まで踏み込み、極太18.5インチのリヤタイヤを軋ませながら飛び出していく。火炎と轟音が空気を切り裂き、あたりには白煙が立ち込める。

あなたがここまで読むのにかかったほんのわずかな時間で、インディアは時速300マイル(時速480キロメートル)以上の速度に到達し、アスファルトコースを1/4マイル(0.4キロメートル)を走り、ゴールラインを通過した後、2基のパラシュートを開いて減速し停止する。

ここまで読むだけで喉の渇きを覚えることだろう。フルスロットル状態では、ニトロメタンを与えられたインディアのドラッグスターは1秒あたり42リットルの燃料を飲み込んで燃やす。これは、風呂場にある平均的なシャワーヘッドから同じ時間内で噴き出す水量のおよそ280倍となる。およそ4秒の走行で1レースを終えるたびに、エンジンは彼女の車から降ろされ、フルオーバーホールを行うためにばらばらに分解される。ピストン、過給機、クランクシャフトなどすべてが取り外され、必要であれば新品に交換される。トップフューエルクラスの競技は、パワーとパフォーマンスの究極を競うモータースポーツだ。しかし彼女にとっては、いたって普通の生活に過ぎない。

インディアはスイスのバーゼルの出身で、6度のヨーロッパ王者に輝いた父のウルス・エルバッカー(Urs Erbacher)と競う準備を着々と進めている。スイスにあるエルバッカー家のワークショップには、インディアと父のレース用車両が格納されており、ヨーロッパ初のトップフューエル競技での父娘対決の時を待っている。

先週末、インディアは、ホッケンハイムで開催された2018ニトロオリンピックでモンスターエナジーのアスリートとしてデビューを果たした。彼女は黒と緑を身にまとい、荒れ狂う獣を野に放つ競技に新風を吹き込んだ。レースでは1/4マイルでパーソナルベストタイムの4.03秒を叩き出し、トップスピードは時速479キロメートルにも達した。

「クルマを怖がっているわけにはいかないわ。1万馬力のドラッグカーにいつでもフルスロットルを与えることができなくちゃ。」

ようこそ、モンスターエナジーへ!

「どうもありがとう!一緒に働く機会を得て、とても楽しみだわ。みなさんをドラッグレースの世界、特に私たちのチームにお招きすることができて最高!」

早速だけど、1万馬力の怪物マシンを発車させる気分は正直なところどんな感じ?

「世界中探しても、他に比べようがないと思うの。スタートから加速して時速100キロメートルに達するのにわずか0.5秒しかかからないの。およそ6Gの加速度で引っ張られるのよ。走る前はいつも緊張するわ。爆発まで秒読みを続ける爆弾の上に座っているようなものだから。ニトロメタン燃料でクルマを走らせる時は何が起きても不思議ではないの。クルマにどのように走ってもらいたいかは考えるけれど、アクセルを踏み込んだ時のパワーは驚異的なのよ。でも、いったんスタートさえしてしまえば……ご存じのように、後は真っ直ぐ走るだけ。だから私はドラッグレースが大好き!何て言えば良いかわからないけど、そうね、バンジージャンプみたいなものかしら。もう、アドレナリンがほとばしるって感じ。レースを終えてクルマから降りた時、気持ちがすごく高ぶっているの。本当にクレイジーなくらい。クリスマスと誕生日とイースターの祝日がいっぺんにやって来たようなものだわ!」

スイスで最速の女性(そして世界中でも最速のドライバーの1人)であるということの意味をどうとらえている?

「最初は何だか不思議な気持ちだったわ。私の父はヨーロッパのチャンピオンを6回獲得していたから、私はそれに慣れているのよ。私がレースをやろうと決心したとき、父と同じような成果を達成しなくてはいけない、という思いのせいで、とても大きなプレッシャーを感じたの。私が慣れるのはタイトル獲得だとは思わない。自分でも信じられないけど、レースは本当にクールだと思う。私はレースがしたい。とにかく速く走りたいの!父はまちがいなく地球上で最速の男の1人ね。そして今、その娘も彼とほとんど同じくらい速いわ!相手を負かさないと、私の事を誰も真剣に受け止めてくれないのよ!」

あなたの後に続こうと望んでいる人たちに、どんなアドバイスをしたい?

「いちばん大切なことは、自分自身を信じることね。自分の思い通りに物事がうまく進まないことなんてよくあること。あなたの前に困難が立ちふさがることも時々あるけれど、目をそらさずに自分がやりたいことをまっすぐ信じ抜くことが大切ね。他人の意見に流されてはだめ。自分に正直でいて欲しいと思う。自分自身を信じて、夢を追い駆け続けて欲しい。私は、毎朝目覚めると、自分に問いかけることにしているの。今自分が取り組んでいるやり方が幸せかどうか、って。その答えがイエスならば、そのままの道を進めばいい。もちろん私の答えはイエスよ。当たり前だけど、もしその答えがノーになるのなら、何かを変えなくてはいけないわ!」

ずっとトップフューエルクラスでレースをしたいと思っていた?

「正直に言えば、違うわ。父は年老いてきて、引退のことを言い始めたことがあったの。その時に、もしレースを辞めたら、レーストラックやチームで一緒に頑張ったことをどれだけ恋しく思うことだろうと気がついたわ。これが、私がレースをやってみようと思った瞬間なの。もちろん父は反対したわ。危険すぎる、と言ったの!私は父の助けを借りないでスポンサーを獲得し、父に言った。お金ならここにある。私はラスベガスへ行ってドラッグレースのライセンスを取得するつもりだけど、一緒に来る?それとも来ない?って。父は、自分も一緒に行ったほうが安全だろうと言いながら、しぶしぶ承知してくれたわ。素晴らしい先生に恵まれて私はラッキーね。あれは私が18歳の時だった。残りはみんな歴史ね!ドラッグレースは私にとって大切な家族なの。他のものは何も欲しくないわ!」

「走る前はいつも緊張するわ。爆発まで秒読みを続ける爆弾の上に座っているようなものだから。ニトロメタン燃料でクルマを走らせる時は、何が起きても不思議ではないの」

トップフューエルクラスを走るドライバーとして、あなたの究極のゴールは何?

「私の夢は、アメリカへ行って世界選手権で戦うこと。ヨーロッパの女性がアメリカへ行って世界チャンピオンになれたら、ドラッグレース全体の歴史が変わるだろう、と思うの。アメリカで1~2年の間レースに参戦して世界チャンピオンを狙うことが今の私の夢かな。」

お父様と競い合うことはまた格別な挑戦だと思う?

「実際、かなり厳しい戦いになると思うわ。間違いなく、相手を打ち負かしたいとお互いに考えるでしょうから。でも同時に、普段は隣のレーンで何が起きても気にしないのだから、その戦いはとても特別なことだと思う。父については速く安全に走って欲しいと思う。でも私に勝って欲しくない。いつもなら私がクルマに乗り込んで、シートベルトを固定してヘルメットをかぶる時に、父は私のそばにいてくれるのが当たり前だから、父と競うのは何だか不思議な気分ね。私がクルマに乗り込む前に、父はいつも私をハグしてくれるの。だけど明らかにそれは出来なさそうね。父も既にクルマに乗り込んで、シートベルトを締めているでしょうから。もし私たちが互いにレースをするとなれば、いつもとは違って、そんなちょっとした事ができなくなると思う。でも大切なことは、私たちが2人ともトラック上でレースを楽しみ、安全に走って速いタイムを出し、チームのみんなのために良い仕事をすることね!」

「レーストラックで走るのにバイクと自分のドラッグカーのどちらかを選べと言われれば、私はドラッグカーにする。でも市街地で乗るのなら、間違いなく自分のバイクを選ぶわ。」

トップフューエルクラスに参戦するパイロットとしてこれまでに直面した特有の課題は何?

「いちばん大変なことは、リアクションタイム短縮を習得して、コックピットに居ながらにして自分の感情と向き合うことなの。クルマを怖がっているわけにはいかないわ。1万馬力のドラッグカーにいつでもフルスロットルを与えることができなくちゃ。落ち着いて、スターティングエリアで集中力を高めることが非常に重要なの。走っている間は、自分の本能をすべて駆使して、クルマを一直線に真っ直ぐ走らせなければならないの。どちらか一方にクルマが流れると感じたときは、その動きに反応しようと思った時には既に遅すぎるしね。クルマの挙動をシートとお尻から感じ取らなくちゃだめ!あはは!技術的な観点から言えば、エンジンの状態に常に気を配る必要があるわね。正常な状態と異常な状態をすばやく感じ分ける能力も大切よ。明らかに大きなエンジンの爆発を感じ取ったりして、シリンダーが落ち込んだり、またはもっとマイナーな異常が起きた場合には、動いているエンジンを温存するためにスロットルを抜く必要があるわ。チーム全員が自分のためにどれだけ一生懸命取り組んでくれているのかを常に念頭に置くことはとても大切な事ね。私たちはクルマに乗って4秒間楽しむことができるけど、チームのみんなは準備を整えるために、死に物狂いで何時間も働くのよ。だから、チームのみんなのモチベーションを保ち、私がチームの努力に深く感謝していることをわかってもらうことがやりがいのある挑戦だと私は考えているわ!」

ドラッグレース場以外では、競技に向けてどのような準備をしているの?

「小さなコンピューターを使ってリアクションタイムの短縮を鍛錬するためのシミュレーションに取り組んでいるわよ。でももちろん実際のクルマとは同じではないけれど。スターティングラインに並んだレーシングカーの中にいる代わりに、緊張しないでじっと静かにスクリーンの前に座っているだけなの。自宅にいる時にはなるべくジムに通って鍛えるようにしているわ。犬を散歩につれていくこともあるわ。健康的な食事を摂るようにも心がけているの。でもこれは本当に難しいわね!」

バイクにも乗るそうですね?

「ええ!インディアン・スカウトを持っているの。スカウト大好き。レーストラックで走るのにバイクと自分のドラッグカーのどちらかを選べと言われれば、私はドラッグカーにする。でも市街地で乗るのなら、間違いなく自分のバイクを選ぶわ。バイクに乗っている時、頬に当たる風や自由を満喫する感じが本当に素晴らしいの。もう本当に何もかも忘れられる感じが最高ね!」

ファンのみんながまだ知らないあなたの秘密を教えてくれる?

「うふふ、それは難しい質問ね!私のドラッグカーの名前はジャスミン(Jasmine)なの。正真正銘のモンスターなの!」

ホッケンハイムで開催されるニトロ・オリンピックの次はどこへ行けばあなたに会える?

「9月8日~10日にイギリスのサンタ・ポッド・レースウェイでレースに出るわ。その後でみなさんにお会いできるのは……」

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