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World SBK 2020 - ジョナサン・レイ、チャンピオンシップ獲得に向けて意気込みを語る

Feb 202020

 「モーターサイクルのレースは、サーフィンに似ている。良い波が欲しくてもお天気任せ。待つしかない。そして、いざビッグウェーブが来たら機を逃すな。そうすればすべてがうまく収まるのだ。」アイルランド出身のジョナサン・レイ(Jonathan Rea)のビッグウェーブの始まりは、2015年のカワサキ・レーシングチームへの加入だった。以来、レイは5年連続して世界タイトルを獲得し、帝王カール・フォガティ(King Carl Fogarty)がそれまで持っていたスーパーバイク世界選手権4連覇の記録を更新し、シリーズ戦のすべての記録を打ち破った。

レイは記録を次々と塗り替える挑戦者だ。その貪欲さは留まるところを知らない。モーターサイクルと北アイルランドのスポーツ競技史上、最高峰のアスリートの1人として既に確固たる地位を築いているレイは、間違いなく2020年も今までの記録を破り続け、新たな歴史の1ページに名を残すことができるだろう。スーパーバイク世界選手権の2020年シーズンが、2月29日にオーストラリアのフィリップアイランドで始まる。カワサキを駆るレイは、さらなる勝利のビッグウェーブに乗る準備が出来ている。

「僕のこれまでの経験は、今とても役に立っている。そして僕らはベストを尽くしてこの快走を続けるつもりだ。僕は、これが果てしないおとぎ話ではないことをわかっている。」

波は寄せては返すものです。この好調の勢いを保つのはどのくらい難しいですか?

レイ:「この『波の哲学』によれば、ビッグウェーブはいつか必ずやってくる。だけどぼんやりしていてはだめだ。いつも持ち構えていなければならない。時に、ビッグウェーブは不意にやってくる。でも準備が整っていなければ、うまく波に乗れないだろう。ホンダとの契約が終了する年の2014年、僕は自分のキャリアの中でも特に勢いがあった。完璧に仕上がったバイク、素晴らしいクルーたち、そして完璧なタイミング。すべてが揃っていた、最高のシーズンだった。僕のビッグウェーブはカワサキ・レーシングチームだよ。2015年にチームに加入してから5年間、僕はワークスライダーのホットな座についている。だけど、そのとおり、波は寄せては返すものだ。だから、この勢いを維持するためにはレーストラックの内外で一生懸命取り組まなければならない。僕のこれまでの経験は、今とても役に立っている。そして僕らはベストを尽くしてこの快走を続けるつもりだ。僕は、これが果てしないおとぎ話ではないことをわかっている。夢から覚める時が必ず来る。その瞬間をできるだけ長く遅らせたい。僕は今後数年間、高い競争力を発揮して、チャンピオンシップ獲得のために戦い続けることができると実感している。それが僕らの目標だ。」

あなたは、世界チャンピオンのタイトル獲得回数、優勝回数、および表彰台の獲得回数の最多記録を持つスーパーバイク世界選手権のリファレンス的な存在です。記録を次々と塗り替える挑戦者であることを、どのように感じていますか?

レイ:「自分自身がしゃぼん玉の中にいると仮定してみようか。自分が成し遂げたことを理解するためにしゃぼん玉の外側に出て、その内側をのぞき込むことはない。チャンピオン連覇の回数そのものは嬉しい数字だけど、それはまったく気にしない。だからこそ高いモチベーションを保つのは簡単なのだ。僕はまだしゃぼん玉の中にいる。立ち止まったり、過去の栄光を振り返ったりしたことがない。自分の成果は評価するけれど、いい仕事をしたということに過ぎない。僕は次の目標に向けて完璧に集中している。」

新しいシーズンが開幕し、新たな挑戦が始まります。

レイ:「冬が終わると、誰もがゼロからスタートを切る。みんな鼻息を荒くして、チャンピオンを獲得するぞと口々に叫ぶ。僕は着実な手順を踏んで、一歩ずつ進んでいくことが好きだ。僕は、素晴らしいチームに恵まれ、競争力の高いマシンを頼りにできることを知っている。僕は、それぞれ違ったスタイルで5回のチャンピオンシップを獲得したという自負があるんだ。圧倒的な勝利を収めたこともあるし、ライバルとのギャップを築いて勝ち進んだこともある。もしくは去年のように、シーズンの後半に追い上げてトップに立ったこともある。こういったすべてのシナリオを経験したことで、予期しない事態になっても精神的な準備を整えられるようになった。」

「昔、僕は短気だった。すべてがすぐに思い通りになって欲しかった。少し年齢を重ねたら、物事は落ち着くべき所にうまく収まるものだと悟った。」

積み上げた経験と時間は、あなたの味方になります。

レイ:「昔、僕は短気だった。すべてがすぐに思い通りになって欲しかった。少し年齢を重ねたら、物事は落ち着くべき所にうまく収まるものだと悟った。いつでもビッグウェーブに乗れるよう準備をしておかなければならない。」

「Dream. Believe. Achieve(夢・信念・達成)」はあなたの合言葉です。そしてあなたの自伝のタイトルでもあります。

レイ:「『夢』について思いを巡らす時、僕は自分がモトクロスバイクに乗った6歳の子供に戻ったような気がするよ。世界チャンピオンを夢見ていたけれど、どうやったらそうなれるかがわからなかったあの頃を思い出す。『信念』という言葉は、2004年、僕が17歳だった時に遭った恐ろしい事故を思い起こさせる。あの経験で、僕のキャリアにそこでピリオドが打たれても不思議ではなかった。僕の脚の負傷は極めて深刻なものだった。僕は病院のベッドに横たわっていて、医師たちから、もう二度とレースはできないだろうと言われた。僕は決してあきらめなかった。心の中で、僕は必ずこの怪我を克服できると信じていた。医師たちから代わる代わる『もうレースはできないね』と言われるたびに、僕は自分の夢を信じ続け、新たなモチベーションを持った。家族やコーチのおかげで、8か月後、僕はバイクに復帰することができた。『達成』は、2015年に僕が初めて世界チャンピオンのタイトルを獲得したのと一致する。7歳の時から成功を夢見て、アイルランドやイギリスのいたるところでレーシングバイクに乗り続けた僕自身と家族が積み重ねたすべての苦労が報われた瞬間だったよ。」

次に達成したいことを羅列したリストには、何が書いてありますか?

レイ:「初めてタイトルを獲得した時、僕は嬉しかったけれど、まだ満足してはいなかった。僕はレースを愛している。チームと一緒に努力するのも楽しいし、家族と世界中を旅行するのも好きだ。目標は今も変わらない、勝ち続けることだ。僕は別に連覇の回数の数字を追い求めてはいない。だけど記録を考慮するなら、今シーズンは100勝という魔法の数字に照準を定めるのが良いと思う。レースという観点からは、僕はすべての期待を上回る成果を出した。それでもなお、勝ち続け、学び続けたい。」

あなたが常にトップに立ち続けるモチベーションを維持しているのはなぜですか?

レイ:「昨シーズンはおそらく最もタフなシーズンだったと思う。当時、アルバロ・バウティスタ(Alvaro Bautista)とドゥカティは非常に手堅く、一切の欠点が見当たらなかったので、自分自身のパフォーマンスを簡単に疑った。だが突然、彼らのレース運びにミスが生じるようになった。彼らのバイクは僕らが恐れていたほど強くはなかったのだ。僕は、自分自身を疑うべきでないこと、そして、さらに上のレベルをめざして挑戦すべきであることを学んだ。僕は自分のスタイルを変え、バイクの上ではさらにゆったりするように心がけた。もっと身体を動かして、リアブレーキを多用するようにし始めた。これらの教訓を実施し、学び続ける準備が整ったと感じている。」

あなたが常にトップに立ち続けるモチベーションを維持しているのはなぜですか?

レイ:「タイトル獲得を5連覇した後は、勝ち続けたいという燃え盛る欲求と、敗北を恐れる恐怖心が常に入り混じっている。レースに関して言えば、敗北という選択肢はない。トレーニングを行う大きな動機として、勝利を逃がしてしまうという怖れを利用するが、いったんヘルメットのシールドを下げてスタートの瞬間を迎えると、勝ちたいという燃え盛る欲望が優勢になる。レースのある週末のすべては、勝つために捧げられる。」

もう一度チャンピオンになるために、向き合う必要のある要素は何ですか?

レイ:「有利なことに、僕には豊かな経験と素晴らしいチームがあり、継続して優れたクルーと競争力のあるバイクに恵まれている。ネガティブな点は、周りからの期待かもしれないね。それに、長期間にわたりリファレンスであるとされている事実は、他のライダーたちが僕を打ち負かそうという多くのモチベーションを形成することになる。でも、結局のところ、僕には自信がみなぎっている。僕らは恵まれたポジションにいることを自覚しているから、賢く、そして懸命に努力し続ける必要がある。」

誰がジョナサン・レイを打ち負かすことができると思いますか?

レイ:「僕は誰にも負けないよ。昨年の結果がそれを証明したようにね。でも正直なところ、誰一人として僕を打ち負かしそうなライダーの顔は思い浮かばない。きっと難しい課題も待ち受けていると思う。所属チームを移籍したライダーも多数いるし、新たなマニファクチャラーもレースに参入してきている。毎年この時期は誰もが興奮しているけど、それは毎シーズンいつも同じことだ。僕は10年前からこのレースに参加しているからね。4~5回のレースが終了すれば、誰もが自分のポジションを見出すだろう。そうすれば、そのポジションの価値をより理解できるようになると思う。」

あなたにとって一番のライバルは誰ですか?

レイ:「僕は常に、最大のライバルは自分自身だと感じている。昨年よりも成長した自分でいなければならない。もしそれが叶えば、僕は勝利を目指して戦うことができると確信している。一部のライダーにとって失礼なことを言うつもりはないけれど、速くてレースに勝てそうなライダーがたくさんいるのは僕も知っている。だけど、大事なのは単にいくつかのレースで勝つことじゃない。僕らのスーパーバイク世界選手権では、1回のレースの週末で3人の勝者が決まる。だから、通年で39回のレースに勝てるかどうかが大切だ。ミスをしない、健康であり続ける、そしてシーズン全体を通じて一貫して強さを発揮することが重要だ。」

「僕は家族思いの男だよ。僕はまず家族を優先する。それに僕は忠実な男だ。特にチーム内では、周りの人々との協調性を大切にする。」

まもなく今年のシーズンがフィリップアイランドで開幕します。最初のレースとチャンピオンシップ獲得に向けて、どのようにアプローチしますか?

レイ:「フィリップアイランドは、とても個性的なトラックだよ。レースが行われるのは2月だけど、ヨーロッパ各国とは違ってオーストラリアは夏だ。だからその雰囲気は非常に格別なものになる。ギアを4速や5速に入れたままでターンするコーナーもいくつかあるし、とにかく高速寄りのサーキットだ。ヨーロッパで通用するライディングスタイルでは勝てない。最大の困難は、タイヤの摩耗が代表的なものだろう。だから、オーストラリアラウンドの結果だけ見ても、結論を引き出すことはできない。僕の目標は、フィリップアイランドでできるだけ多くのポイントを稼ぎ、ミスを犯すことなく次戦に進むことだ。僕らは4~5レースが終了した時点での結果から、実際の価値を判断するつもりだ。フィリップアイランドでのレースは、母国でのレースのように感じることもあって僕にとっては特別だよ。なぜなら僕らはそこに家を持っていて、妻のタチアが生まれ育ったところでもあるからだ。家族や友人が周りにいるのはとても素晴らしいことだ。」

レーストラックでは非情な男であり、同時に、日常生活では良き隣人。そんなジョナサン・レイとはどんな人物ですか?

レイ:「僕は家族思いの男だよ。僕はまず家族を優先する。僕は忠実な男だ。特にチーム内では、周りの人々との協調性を大切にする。僕は自分自身を良い人だと感じているよ。僕にたくさんのものを与えてくれたレースに全力を尽くしているし、慈善活動にも携わっている。そして、レーストラック上ではチャンピオン精神にあふれ、勝利を狙っている。言うまでもなく、僕は常に敬意を表すよう努力するけど、最終的な目標は勝つことだ。それはつまり、時にレーストラック上では攻撃的だったり、他のライダーをむかつかせたりすることがあるという意味だ。」

あなたはどのように筋肉を鍛えているのですか? また、頭脳のトレーニングについてもどうしているか教えてください。

レイ:「僕はモトクロスをやることで脳のトレーニングをしている。モトクロスは、周回ごとにコンディションが変化し続けるトラックを比較的高速で周回走行するから、情け容赦がない。たくさんのリスクと危険な障害物に立ち向かい、それらに順応し続け、ライディングスタイルを常に変化させながら、警戒を怠らず素早い意思決定を行って、予期しない事態にも常に備えなければならない。また、いくつかのシーケンストレーニングを行って身体を鍛えているよ。ざっと言えば、効率的に身体を動かすための筋力を増強するために、様々なプログラムをこなしているね。僕はサイクリングが好きだよ。それに毎日異なるプログラムをこなすのも楽しい。」

あなたは5年後、何をしていると思いますか?

レイ:「たぶん引退しているだろうね。子供たちがフットボールをしたりモトクロスをやったりするのを見に行くんじゃないかな。その時にレースに関わっているかどうかはわからないけど、自分のモトクロスバイクに乗って、家族や友人たちとの暮らしを楽しんでいると思う。引退を決心するのは難しいとわかっている。でも、怪我をしたり、競争力やモチベーションが衰退したりして、やむなく引退に追い込まれることだけは避けたい。チャンピオンなら誰でも、まだ頂点に立っている時に引退したいと考えるものだ。」

今とは異なるマニュファクチャラーのチームで勝ちたいという挑戦を思い浮かべたことはありますか?

レイ:「カワサキとの契約は今シーズンいっぱいで終了するけれど、僕は素晴らしいチームに属していて、ここでまだレースを続けられると確信しているよ。もちろん、あらゆる可能性には目を向けて、どのような機会に恵まれるそうなのかを注視し続けているよ。」

カワサキは、MotoGPのワイルドカード出場をあなたに依頼しました。その機会は失われたのですか?

レイ:「よくわからない。おかしな話でね。僕は、カワサキでのMotoGPのワイルドカード出場を希望しないね。なんだか滑稽だし、冗談みたいだよ。それは、プロトタイプのタイヤを備えたプロトタイプのマシンではなく、ピレリのタイヤを履いた量産型のバイクだったことだろう。まるでF1を世界ツーリングカー選手権と比較するようなものだ。面白いことに、僕らは量産型のマシンで走っている。だからスーパーバイク世界選手権とMotoGPはまったくの別物だ。ミカンとリンゴを比べるようなものさ。」

あなたの限界は、まだ自分の心地よい居場所から外れておらず、MotoGPの主人公になることもできたのに…と考える人もいるようです。このような意見に対し、あなたの答えはどうですか?

レイ:「僕は、自分の下した決断にとても満足している。僕は世界チャンピオンのタイトルを5回獲得した。自宅に戻ってもMotoGPのことはまったく考えたことがないね。僕のこれまでのキャリアには、競争力のあるマシンに恵まれず悔しい思いをした時もあった。もし理想の世界があるとしたら、そこで僕はMotoGPのファクトリーチームと契約を交わし、レースに出場して自分の可能性を証明したいと考えたかもしれない。かつてそんな努力をしたこともあったけど、そんな契約の話は一度も浮上しなかったね。」

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