
最も危険なオフロードレースで、地球上最も過酷な地形が何千マイルと待ちかまえるダカールラリーの3連覇が目前に迫る中、モンスターエナジー・ホンダ・チームはサウジアラビアに到着し、そのプレッシャーを感じている。今回はモータースポーツの歴史を塗り替えようとしているレーシングチームに迫っていく。
ダカールラリーを完走するだけでもすごいことだ。我々は途方もなく難しい話をしている。それは、世界で最もクレイジーで、最も長く、最もタフで、おそらく最も残酷なモータースポーツの挑戦だ。偉業を成し遂げるには、最も過酷な条件下での究極のテストに、ライダーとマシンを含む何千もの可動パーツが完全に調和する必要がある。
ジェッダ、リヤド、ハイル間を2週間にわたって走る第44回ダカールラリーでは、参加者は8300 km強の距離を走行する。この半分(約4150 km)は、結果を左右する時間制限のあるスペシャルステージで、残りはリエゾンセクションで構成される。時間制限のあるスペシャルステージだけをとっても、リスボン・モスクワ間、またはニューヨークからロサンゼルスまでレースするのとほぼ同じ距離になる。従って、ダカールで1度勝利するだけでもすごいことだが、連続勝利を確実にすることはほぼ伝説の域の話だ。
負け知らずのチーム
繰り返しになるが、世界で最も残忍で容赦のないオフロードラリーに優勝候補として参加することは、後続にとって大きな目標になる。モンスターエナジー・ホンダ・チームゼネラルマネージャー、ルーベン・ファリア(Ruben Faria)もそのこと認識しており「2020年と2021年、モンスターエナジー・ホンダ・チームはダカールラリーに勝利した。2022年、我々は負け知らずの優勝候補としてレースに向けて準備を整え、3連覇を目指している」と述べている。
2022年のダカールラリーに向けたカウントダウンは、ケビン・ベナビデス(Kevin Benavides)がモンスターエナジー・ホンダCRF450ラリーに乗ってセンセーショナルな勝利を収めた、前回大会のフィニッシュラインから始まっている。シャンパンスプレーも乾かないうちに、次回の優勝だけを目標にチームは多くの努力を費やす作業に戻った。同大会で優勝した初のアメリカ人ライダーになり、1989年以来初めてホンダにダカールラリー優勝をもたらしたリッキー・ブラベック(Ricky Brabec)によるその前々回大会優勝を経験しているため、チームはこのサイクルを良く知っている。
「ダカールは非常にタフで非常に複雑なレースであり、細かい部分が特に重要になる。ダカール優勝は運任せにはできない。12日間のレース全体で戦術的になり、信じられないほどの正確さが求められる。」とファリアは語った。
未知への備え未知への備え
ダカールのルートは毎年新しくなり、事前に分からないため、予測不可能であることが特徴だ。参加者は、未知の地形を通り抜けながらステージをできる限り速くクリアすることと、各ステージでチェッカーフラッグが振られた翌日にまたレースができるようにリスクを最小限に抑えることの間で微妙なバランスをとる必要がある。
「スピードだけでは十分じゃない。勝つには、バイク、チーム、ライダー、この3つの要素の組み合わせが必要だ。目標を達成するには、これら3つの要素が同じレベルとタイミングで一致する必要がある」とHRCオフロードレース運営室マネージャー本田太一は説明する。