
全12ステージ走行距離4,767kmの14日間のレース、ダカール・ラリーが始まる。43回目となる伝統のマラソンレースが容赦ない砂丘と土埃の地、中東に戻ってきた。
もっとも勇敢で堅固な目をしたエリートたちだけが参加を認められる。
多くの大会において表彰台を狙うには通常は一番速いだけで十分だが、ダカール・ラリーでは、ライダーとドライバーはさらに多くのことが求められる。メカニックであり、ナビゲーターであり、アスリートであり、冒険家であることなど、枚挙にいとまない。
ダカール・ラリー自体も、レースが砂丘で展開されるようになり、進化している。アフリカ、南米での40年にわたるラリーの後、今日ダカール・ラリーはサウジアラビアに新天地を見つけている。見事な2020年の初開催に続き、2021年は「まったく新しい」ルートが待っており、2週間にわたってとてつもないチャレンジの数々を約束してくれる。さらに、競技大会のほぼすべての側面が調整され、もっとも過酷でありながらも、矛盾しているようだが、これまででもっとも安全が配慮されている。
たとえば、コース上の特に危険なセクションには現在、最高時速が90km/hに制限される「スローゾーン」がある。二輪での参加者にはエアバッグベストの着用が義務付けられ、危険地帯の手前で競技参加者たちに対して音声による警告が発せられる。ステージのナビゲーション用ロードブック(競技参加者たちに一日の行程を指示してくれる)は、各ステージの開始10分前にしか配布されず、タイヤの管理にも厳格な規則が存在している。マラソンステージでは、四輪カテゴリーではタイヤの交換は認められていないが、二輪車にはそれぞれ、ラリー全体で合計6本のリアタイヤが付与される。
ダカール・ラリーで変わらないこと、それは浮き沈み、つまり快楽と苦痛など、対極の絶妙なバランスだ。