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Images from the 2020 Formula 1 Hungarian Grand Prix
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Renaissance Man : ルイス・ハミルトン

Sep 292020

 あの当時は良かった。卑劣なプレーが物議を醸す、どんなスポーツでも良くあることだった。とりわけF1では。だが、F1におけるスピードと責任の驚くべき進化、特に現チャンピオン、ルイス・ハミルトン(Lewis Hamilton)による実例を見て少し深く掘り下げてみると、その進歩はいつでも懐かしさに勝ることにすぐに気がつくはずだ。

マシンはこれまで以上に速く、よりパワフルだが、極めて安全だ。F1チームが現在レース場で発展させている驚異的な技術は、将来、さらに良く、クリーンで、洗練された公道走行車へと道を開いている。さらに、ファンの視点から見ると、日曜日のグランプリにチャンネルを合わせ、お気に入りのドライバーのキャリアが、命が、レース中の事故で終わってしまうのを目の当たりにする恐怖とリスクは非常に低い。スピード、パフォーマンス、安全性、テクノロジー、そして意外にも健康がすべてにおいて最優先されている。

良い点はまだある。F1巡業の顔であるドライバーたちは、週末にハンドルを握ること以上に彼らの責任が大きくなっていることを強く認識している。それも双方向のコミュニケーションで。60年、70年代という黄金時代のドライバーたちの馬鹿げた態度が新聞の見出しを飾ることもあったが、現代のF1ドライバーは以前には想像もできなかった方法でファンとつながり、交流している。

「世界中でたくさんの人がフォロワーになってくれて、非常に嬉しい」とハミルトンは説明する。「僕のソーシャルメディアの投稿に対して、『ああ、最悪な日を過ごしていたけど、これで乗り切れる』と人々が言ってくれる。このやり取りで、僕らみんなが互いに助け合う必要があることが分かったんだ。」

「十分に準備した上で、毎回グランプリを開催するために必要な時間について、人々は過小評価していたと思う。ファンたちはテレビの電源を入れて、グランプリの3日間の様子を見てそれがすべてだと考える。でも、グランプリには時間、緊張を強いられる仕事、準備と研究が必要なんだ。ドライバーがレースに適したコンディションに仕上げるための肉体的、生活面での努力は言うまでもない。最初に思いつくこと以上にたくさんのことがある。今はファンと直接コミュニケーションを取り、舞台裏を詳しく紹介することができる手段があって、みんなの意識を変えていくことに役に立ってる。素晴らしいことだ」とハミルトンは続けた。

 

「F1ドライバーであることで、世界を良く変えていこうという呼びかけを広めていくことが僕はできる。それがたとえレースに関係のないことでも。F1におけるダイバーシティへの現在の取り組みを例にあげても、以前はこんなにまで率直に話されることがなかった話題だ。これまでは、ダイバーシティについて、彼らはただ現状を受け入れる、現状に慣れ切ってしまっている、またはそれについて何の調査もしなかった。歳を取るにつれて、自分の目的は呼びかけ続けることだと気がついたんだ。レースに出て、勝って、記録を更新し続ければ、こうした話題を率直に発言して、本当の改革を進めるチャンスを手にすることができる。」

 

ハミルトンはF1ポイントランクを上げ、前例のない記録を更新したレースでの偉業は詳細が残されている。しかし、彼以前の多くのドライバーとは対照的に、35歳のハミルトンはレースを楽しみ、記録を更新することよりもはるかに多くのことに目を向けている。

 

「僕は記録に固執する人間じゃなかった」とハミルトンは続ける。「もちろん、僕が見て育ってきたレーサーと同じ文脈で自分の名前が出されると、『ヤッター』って感じになる。でも少し冷静になって、その本当の意味を理解するんだ。こうした記録や成果をあげていくことで、みんなの子供たちがより良い世界で成長できるように、人々の生活を変える可能性のある話題について声をあげるプラットフォームが生まれると思うんだ。僕が歳を重ねて、世の中を、そして僕ら人間が世界に与えている影響が分かってきて、僕は持続可能なテクノロジーに真剣に取り組んでいるんだ。僕の生活のなかの物事を変えることで、より良い影響をもたらすことができる。もっと大きな問題を考えてみよう。僕達は人種差別やその他の差別をなくすために奮闘し続けている。これは人々が何百年もの間戦ってきた終わらない戦いだ。戦いは今も続いているんだ。」

ハミルトンを批判する人々はしばしば彼の引退の話題を持ち出し、彼の関心の焦点が多岐にわたり過ぎていると議論をふっかけている。グランプリで89回優勝している彼が、レースサーキットから離れた場所で多くのプロジェクトに関わっていることは反論のしようがないが、彼のレーサーとしての能力が彼の平日の活動によって影響を受けているという兆候は全くない。ハミルトンは彼の新たな活力の一部を注いで、ライフスタイルを完全に変えており、植物ベースのビーガン食を導入している。

 

「ビーガンダイエットを人に押しつけるつもりは全くない。僕は他の人と同じものを食べて育ち、そうした食事は身体に良いと言われてきた。牛乳は身体に良いと言われ、乳製品、お菓子、チョコレート、肉、魚、鶏肉を食べてきた。こうした食べ物で大人になったんだ。メキシカンチキンファヒータは僕の好物だったんだ。メキシコでレースをしていた時は、タコスを食べて…なんてこった、それもお気に入りだった!でも、その後でビーガンの人たちに出会って、そして、自分が全く無関心だったことについて教えてもらった」とハミルトンは言う。

 

「何かを食べていた後で、決まった反応が起きていた。それによって、自分の食事のあり様を変えることによって、アスリートとしてもっと良くなる方法について考えるようになったんだ。昔はよく腹痛がして、医者に診てもらったところ、ある特定の食品アレルギーがあることが分かったんだ。炎症を起こしていて、特定の食品の摂取をやめてすぐに効果があることを発見した。肉を食べるのをやめて、気分が良くなった。いろいろとよく調べて、例えば、食肉産業における動物の扱いについて詳しく理解したとき、とても悲しくなった。また、僕たち人間は魚や貝を求めて、海で乱獲もしている。」

 

「こうしたことは学校では教えてもらわなかった。自分が変わらなければいけないことに気がついたんだ!そうすることは意識的に決めたことなんだ。しかも、これまでにないほど気分が良くなるということまでは、知らなかったよ。人々が言うように、それは段階的なプロセスであって、自分が決断したことの中で一番正しい決断だったよ。犬を飼うことを決断したことは別としてね!よく眠れて、たくさんトレーニングができる。気分が良いし、たくさん活力が生まれてくる。そして、回復の時間も改善している。僕の今のレースパフォーマンスを見て欲しい。そして、同じやり方をしている他のアスリートたちのパフォーマンスがどうなっているか見て欲しい。僕は健康で体調がいい。だからそのうちすぐにスピードが遅くなるなんてことはないさ。」

 

 

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