be_ixf;ym_202112 d_07; ct_100
閉じる
MotoGP Mugello Race Day
NEWS

ファビオ・クアルタラロ 2021年MotoGP選手権への道

Oct 242021

ファビオ・クアルタラロ(Fabio Quartararo)は、2015年Moto3クラスのデビュー時に「選手権を脅かす存在」になると予想されていた。そして、モンスターエナジー・ヤマハMotoGPチーム参加初年度にして2021年MotoGP世界チャンピオンになるという感動的なサクセスストーリーを有する非凡な才能に溢れたレーサーだ。

ファビオ・クアルタラロは、信じられないほどのスピード、成熟度、そして断固たる忍耐力を示し、モンスターエナジー・ヤマハMotoGPチーム初年度にして、シーズン残り2戦を待たずにMotoGP世界選手権タイトルを獲得した。『エル・ディアブロ(スペイン語で悪魔の意味)』と呼ばれる彼のグランプリ頂点までの道のりを一緒に振り返ってみよう。

クアルタラロは、グランプリレースのキャリア開始からすでに優勝候補にあがるレーサーだった。彼は2015年に弱冠15歳でMoto3クラスに参加。16歳未満はMoto3™世界選手権に参加できないというそれまでの規則がその年に廃止されたためだ。2013年と2014年にFIM CEV Moto3チャンピオンになり、クアルタラロは当初から選手権を脅かす存在になると評価されていた。多くの人が予想していたように、彼は最初から強い印象を残し、サーキット・オブ・ジ・アメリカズで2度目のレースにしてすでに表彰台に上った。彼は、ヘレスとル・マンの両方でポールポジションを獲得した後、アッセンでこの偉業を繰り返した。残念ながら、シーズン後半の足首の負傷で彼の快進撃は止まったが、それでも彼は総合10位でシーズンを終えた。それは成長著しいキャリアの最初のサインだった。しかし、必ずしも簡単な道のりではなかった。

2016年、彼はMoto3クラスにおいてレオパード・レーシングチームで13位、2017年にはMoto2クラスにおいてパヒナス・アマリージャスHP40で13位となり、表彰台に上がることはなかった。しかし、中間クラスのデビュー時から維持した素晴らしいペースにより、2年目のシーズンにはスピードアップ・レーシングチームに移籍することが可能になった。

彼がMoto2選手権で大きな前進を遂げたのは2018年。彼はバルセロナ・カタロニアサーキットで中間クラスのポールポジションを初めて獲得し、優勝を飾った。その後、TTサーキットアッセンで2位、最終順位で10位を獲得した。2018年8月、クアルタラロが2019年に新しく設立されるヤマハのサテライトチーム、ペトロナスヤマハSRTでフランコ・モルビデリ(Franco Morbidelli)に合流することが発表された。大きな挑戦となるが、彼はその準備ができていた。

プレミアクラスで未だ勝利がなかった彼にとって、それが2020年の主な目標となった。新型コロナウイルスのパンデミックによる日程変更があったにも関わらず、その目標の実現まで長く待つ必要はなかった。クアルタラロは7月のヘレスで優位に立ち、ダブルウィンで彼のシーズンを開始した。カタロニアで3度目の勝利を収めたが、シーズン終了までそのパフォーマンス維持に奮闘した。彼は計14戦強で9度最前列スタートを確保し、そのうち4回はポールポジションを獲得していた。この若き天才ライダーにスピードがあることは明らかで、彼自身初の選手権タイトル獲得を確実にするためには一貫性のある走りを目指すことだった。

 

2021年クアルタラロは1シーズンで2つの夢を実現した。彼の憧れである、バレンティーノ・ロッシ(Valentino Rossi)の足跡をたどり、モンスターエナジー・ヤマハMotoGPチームに参加した。そして、MotoGP世界チャンピオンになった。彼はそれを簡単にやってのけたように見えた。

 

クアルタラロの素晴らしい才能は既に評価されていたので、当然のことながらファンやメディアの期待は高かった。チームは彼にプレッシャーをかけないよう努めたが、第1戦では緊張を感じずにはいられなかった。名高いファクトリーチームでのデビュー戦は5位に終わった。チームは満足していたが、クアルタラロは違った。彼はもっと良い結果を出せる自信があり、翌週のドーハでの第2戦でそれを証明しようと決めていた。今年彼が1列目からスタートしなかった2戦の内の1戦がこのレースだったが、このチームでの初優勝を飾った。

フランスGPとイタリアGPの間に1週間の休みがあり、クアルタラロはムジェロですべてを出し切る準備ができていた。彼は素晴らしい週末を過ごし、素晴らしい勝利を収め、チームは手ごたえを感じた。ムジェロはホームレースだが、トラックはファクトリーチームにとって最高のトラックとはいえなかった。クアルタラロが、技術的に難しいと悪名高いサーキットでさえYZR-M1の力を最大限出し切ることができたということで、シーズンの残りのレースへの期待が高まった。

 

クアルタラロは、やや混沌としたグラン・プレミ・モンスターエナジー・デ・カタルーニャで再び表彰台の候補者になった。彼は3位を堅持したが、3秒のペナルティを2回受けた後(広範囲に走った後のショートカットにより1回、レース中にレザーのチャックを降ろしたことにより1回)、最終的に6位に終わった。彼はこの結果を冷静に受け止め、2週間後には、ヤマハの滑らかなラインと高いコーナースピードに最適とはいえないザクセンリンクのサーキットで3位につけた。さらに、1週間後には最適なサーキットレイアウトであるTTサーキットアッセンで勝利を収め、彼は可能な限り最高な形でシーズンの前半を終わらせた。そして、チームメイトのマーベリック・ビニャーレス(Maverick Viñales)が、モンスターエナジー・ヤマハMotoGPチームにとってその日をさらに思い出深いものにした。彼は2位でフィニッシュし、同ファクトリーチームにとって2017年アルゼンチンGP以来初の1-2フィニッシュを達成した(ヤマハにとってプレミアクラスで750と751番目のポディウムフィニッシュ)。

2週間後、クアルタラロは再び明るく輝いた。モンスターエナジー・ヤマハMotoGPチームは、モンスターエナジー・イギリスGPで大きな勝利を祝うことができた。すべてを掌握したYZR-M1上のクアルタラロのレベルに匹敵する者は誰もいなかった。彼は2位に対して2.663秒差でチェッカーフラッグを受け、選手権で65ポイントリードしてシルバーストンサーキットを後にした。

 

ヤマハファクトリーチームは好調のうちに次戦、アラゴンGPに挑んだが、第13戦はクアルタラロにとって「不運」な結果となった。モーターランドアラゴンでの遠征は困難なものになり、激しい戦いに挑まなければならなかった。防御的で勇敢なライディングのおかげで8位フィニッシュ。重要なチャンピオンシップポイント8を獲得した。サンマリノGPで力強くカムバックしたいと考えていたクアルタラロは使命を帯びており、彼はそれを果たした。27周のレース最後まで戦い抜き、最終的に2位入賞を果たし重要なチャンピオンシップポイント20を獲得した。

エミリア・ロマーニャGPではプレッシャーにさらされた。タイトルを争うライバルがポールポジションからスタートし、彼はグリッドの15位からレースをスタートしなければならなかった。しかし、クアルタラロは決して諦めなかった。彼は集団を突破して素晴らしいレースを見せた。後半のステージでバニャイア(Bagnaia)がクラッシュによりリタイアしたため、クアルタラロの選手権タイトル獲得は確実になった。それでも、ファンを退席させないために土壇場で接戦を繰り広げなかったら、彼がエル・ディアブロと呼ばれることはなかっただろう。彼はチャンピオンに相応しいレースをし、最終的に4位でフィニッシュした。

全体として、「スピードと一貫性」という昔ながらの戦略が成功の鍵だった。しかし、クアルタラロに彼の憧れである、ロッシの足跡をたどらせたものは「秘密の要素」だった。今シーズン、彼は絶えず集中力を保ち、冷静な決断力を示し、「上手く行かない日」でもバイクに乗ることを心から楽しむことで一貫してポイントを獲得するパフォーマンスを見せることができた。予選とレースバトルの熱気の中で彼が感じる喜びは人々に伝わり、急速に大勢のファンを獲得した。彼らはクアルタラロの2021年MotoGP世界選手権タイトル獲得に間違いなく大喜びしているはずだ。

 

2021年MotoGP世界選手権タイトル獲得について、クアルタラロは次のように述べている。「まだ信じられない!言葉が出て来ない…素晴らしい気分だ。時間が経てば、少しは話せるかも。今は、夢のようだ!家族が一緒にいてくれるのも、気分がいい。今夜、そしてシーズン終了までこの勝利をもっとかみしめるだろう。」

 

「もちろん、ペッコ(バニャイヤの愛称)の週末をこんな形で終わらせたくはなかったけど、彼は大丈夫なようで良かった。今は僕らが世界チャンピオンだ。僕には言葉も、泣くための水分も体に残っていないんだ。気分はとても良いけど、自分の今の気分を説明する事さえできない。僕の家族とサーキットの家族たちと一緒に表彰台に立てるなんて、言葉が出ない。」

 

「MotoGPには長い歴史がある。優勝した最初のフランス人になれたことはすごいと思う。ヤマハにも満足している。2015年以来、ヤマハはタイトルを獲得していなかったが、僕らは今日再び勝利を手にした。気分は最高だ!」

この記事をシェアする:

RECOMMENDED

あなたへのオススメ