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2002 Special Mugello Helmet
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ムジェロのロッシ:ヘルメットデザインの歴史

May 312021

「月曜日になると胸がざわつき始める。週末にムジェロでレースが予定されていることを実感して緊張するんだ。それは特別な予定で、おそらくレース・カレンダーの中でもっとも重要なものだ。僕が一番好きな場所であることは間違いない。水曜日に到着し、きれいな空気とトスカーナの丘の美しさを満喫して、気分が盛り上がってくる。今回が僕にとって27回目の参加になる。最初はスポーツプロダクションだった。毎年のことだけれど、この興奮はいつも同じだ」と2021年イタリアGPの前夜にバレンティーノ・ロッシ(Valentino Rossi)は語った。

バレンティーノとムジェロ・サーキットには特別な関係がある。2002年から2008年にかけてMotoGPクラスで7連覇を達成し、全クラス通算9勝、14回の表彰台を獲得して作られた相思相愛関係だ。

毎年、バレンティーノは特別なヘルメットでイタリアGPを祝い、恒例となっている土曜朝のお披露目は、シーズンにおける特別な瞬間になっている。それぞれのヘルメットには物語があり、バレンティーノのキャリアにおける特定の瞬間を表現している。「僕はデザインのなかのシンボル、色、数字を通じてコミュニケーションをはかっている。ライダーになって以来、ヘルメットには常に太陽と月のシンボルを付けてきた。そのグラフィックを気に入っていて、そしてある意味、それらは僕を象徴しているんだ。僕の昼と夜、善と悪、天使と悪魔の両方を。」とヘルメットのデザインについて語った。ヘルメットには、ニンジャ・タートル、犬のグイド、ロッシフミ、ヴァレンテイニク、そしてザ・ドクターといったバレンティーノの壮大な戦いを象徴するグラフィックが描かれている。

すべてのグラフィックの背後には、ヘルメットのカラーリングをデザインしているアルド・ドルディ(Aldo Drudi)の創造性と技術がある。そしてバレンティーノは、デザインプロセスの至る所で関与し、レースバイクに向けるのと同じように細部に注意を払っている。

 

特別なヘルメットは、バレンティーノが大会に向けて勝利モードに入るのを助けてくれるため、完璧に仕上げなければならない。「ヘルメットも含め、すべて完璧にできれば、そのレースに勝つことができる」とドルディは説明する。彼は、グラツィアーノ・ロッシ(Graziano Rossi)のためにヘルメットのデザインを始めた。いうまでもなくケビン・シュワンツ(Kevin Schwantz)、マルコ・ルッキネリ(Marco Lucchinelli)、ロリス・レジアーニ(Loris Reggiani)、マイケル・ドゥーハン(Mick Doohan)、アレックス・クリビーレ(Alex Criville)、シト・ポンス(Sito Pons)のためにもデザインした。そして、バレンティーノ・ロッシ、マルコ・シモンチェリ(Marco Simoncelli)、フランコ・モルビデリ(Franco Morbidelli)、マーベリック・ビニャーレス(Maverick Vinales)、ファビオ・クアルタラロ(Fabio Quartararo)、エネア・バスティアニーニ(Enea Bastianini)、その他多数のライダーたちに継続してデザインを提供している。

 

「GPにおける僕のキャリアはグラツィアーノ・ロッシから始まった」とドルディは述べている。「グラツィアーノのために作った最初のヘルメットから土曜日に発表されるバレンティーノの新しいヘルメットまで、40年の長い歴史がある。グラツィアーノのために、虹がかかった魔法の城のデザインを始めた。当時としてはそれは独創的なヘルメットだったが、グラツィアーノはそんな雰囲気だった。彼は特別だった。そしてバレンティーノは彼から色の好み、グラフィック、レースの楽しさを受け継いでいる。僕のお気に入りのヘルメット?それは、バレンティーノによるグラツィアーノへのトリビュートである2002年の特別版さ。」

バレンティーノの最初のヘルメットの 1 つは、彼にとってキーパーソンであり、父親であるグラツィアーノへのトリビュートだった。伝統的なイタリア国旗の色と、残りの配色はグラツィアーノがかつてレースに参加したときのヘルメットの色を象徴していた。

イタリア人はサッカーに情熱を燃やす。2003年のイタリア GP では、バレンティーノはサッカーの世界から着想を得て、イタリア代表チームのチームカラーの青、イタリア国旗、そしてその当時、彼の獲得した4つのタイトルを表す4つの星マーク(125で125ccタイトル、1999年に250ccタイトル、2001年に500ccタイトル、2002年にMotoGPタイトル)を使っている。ザ・ドクターはすでに全クラス制覇したレジェンドだった。その年、彼は9つの世界タイトルのうち5つ目を確定した。

バレンティーノのヘルメットは常に自分自身について語っている。それらは象徴的で、ほとんどが自分自身をうまく皮肉っている。これらのデザインは決して他の誰かを言及するものではなく、他のライダーへの返答でもない。2004 年、バレンティーノは過去 2 回のGPでの4位にうんざりしていたため、ローマ数字の4が付いた木製のメダルをヘルメットにデザインすることにした。このシンボルで、彼は表彰台に上がることがいつだって良いことを肝に銘じたかったのだ。それは良い刺激となり、日曜日に彼はレースに勝利した。

その年、バレンティーノはウルビーノ大学から「アドノーレム(栄誉)」学位を授与された直後にムジェロに到着した。日曜日に、新卒のドクターは驚異のレース パフォーマンスを披露。スタートからフィニッシュまでマックス・ビアッジ(Max Biaggi)、ロリス・カピロッシ(Loris Capirossi)、マルコ・メランドリ(Marco Melandri)より常に優位にたった。

2006年、バレンティーノは有名な漫画家のミロ・マナラ(Milo Manara)に、エンツォ・フェラーリ(Enzo Ferrari)、スティーブ・マックイーン(Steve McQueen)、鶏のオスヴァルド、犬のグイド、ロッシ自身、そして女の子たちをヘルメットに描くよう依頼した。ロッシはこの年、自分の神話と情熱に敬意を表することを選んだ。

ロッシのヘルメットのほとんどは、2007 年のこのハートのヘルメットのように、ファンへの感謝の気持ちを表している。バレンティーノは、すべての人の心を一つにするシンボルを選んだ。

 

そのシンプルなデザインの中に、このヘルメットの美しさがある。誰だって誰かに愛を証明するために1度はハートマークをデザインしているはず。ヘルメットの大きなハートマークはファンへの感謝の気持ち。さらに、これはバレンティーノが表彰台からファンに投げた唯一のヘルメットだ。


ムジェロヘルメットの制作期日が迫る中、もっともクレイジーでもっとも象徴的なヘルメットがこれだ。「当時、僕たちは深刻な危機に陥っていた」とドルディは語る。「レース前の水曜日午前2時時点で、特別なアイデアが何一つなかった。僕は話し続け、彼にムジェロでMotoGPバイクに乗ったときの気分について説明してほしいと頼んだんだ。なぜなら、伝説になるほど有名なコーナーがあるからね。カサノバ/サヴェッリのターンをシミュレートしていたとき、彼はヘルメットにあるような顔をして、『これはとてつもないコーナーなんだ。ブレーキをかけたら視界から消えてしまう。ジェットコースターに乗っているようなものだ』といったんだ。本当に面白い顔だったから、彼にその顔をもう一度してもらって、バレンティーノの顔がデザインされたヘルメットを作り、象徴的な作品になったんだ。」

黒い背景はロッシにとって非常に珍しい。デザインされた 2 つの大きなグローブは、バレンティーノが頭に両手をあてている状態を表している。バレンティーノは彼自身を2009年のムジェロでこのように表現した。

バレンティーノがレースをしたり、バイクで仕事をするときの精密さは、ヘルメットにも表れている。2011年スペシャル・ムジェロ・ヘルメットの目は、ドルディが写真で撮った彼の虹彩だ。その年のメッセージには二重の意味が込められていた。

 

それは彼をサポートするのはファンの思いやりの目であり、同時に彼らはムジェロでドゥカティのバイクに乗っている彼にも興味を持っている。また、目のデザインにはもう一つの意味がある。2010年のムジェロでの事故の後、バレンティーノに気をつけろ、慎重になれと思いださせることだ。

ドゥカティでの2年目、バレンティーノは苦戦し続けた。バレンティーノとドゥカティのホームGPのムジェロが近づくと、ザ・ドクターは、イタリア人歌手ジャンニ・モランディがサンレモ音楽祭のために作ったスローガン、『Restiamo uniti(団結しつづけよう)』からインスピレーションを得て、チームと彼の周りの人間を鼓舞した。

2013年、バレンティーノはヤマハでのこれまでの成績をジョークにして、ダニ・ペドロサ(Dani Pedrosa)、マルク・マルケス(Marc Marquez)、ホルヘ・ロレンソ(Jorge Lorenzo)の3人のライダーを追いかけるカメとして自分自身を表現することにした。バレンティーノは亀のシンボルをずっと気に入っている。それは彼と母親のステファニア(Stefania)の2人にとって生涯にわたる幸運のお守りだ。実際、バレンティーノは気に入り過ぎて、お腹にタトゥーを入れている。

それはバレンティーノがチャンピオンシップで復活した時だった。バレンティーノは再び皮肉を使うことして、「ヴァーレのパスタは決して茹ですぎてはいけない」から着想を得て、彼自身をジョークにした。それは、年齢にも関わらず、彼はまだまだすごいパフォーマンスをしていることを再確認するやり方だ。ヘルメットの裏側には、『タヴッリア製認定イタリア製品:調理時間 46 分』と『茹ですぎ禁止』と書かれている。多くの人を笑顔にした素晴らしいヘルメット。気の利いたビジュアル。軽さと皮肉が混ざり合った創造性をあわせ持つデザインだ。

ムジェロ2015で、バレンティーノはサーキットに対する深い愛情を再び表現した。ヘルメットは、ムジェロの丘が正確に描かれ、ファンからのエネルギーのチャージという、特別なサポートを求めている。「応援してくれる観客がたくさんいると、より多くのエネルギーが湧いてくると思いたいんだ。これは誰にでも当てはまることだ」とバレンティーノ・ロッシは語った。

単純に、ムジェロはムジェアッロになる。バレンティーノは「ムジェロ」と「ジャッロ(黄色」という言葉を使って、サーキットとスタンド、そしてトスカーナのサーキット会場の丘を埋め尽くす彼のファンへの愛を表現している。ファン、地元の人々、バレンティーノとトスカーナのレーストラックとの特別な関係に捧げられた象徴的なヘルメットとなった。

ほとんどのイタリア人がそうであるように、バレンティーノもサッカーが大好きで、前週フランチェスコ・トッティがローマでの最後の試合を終えて引退したことに無関心ではいられなかった。そして、ヘルメットはこの有名サッカー選手へのトリビュートになった。『Mo je faccio er cucchiaio』。ヘルメットの裏側には『Un Capitano… c’é solo un capitano』翻訳すると「キャプテン、唯一無二のキャプテン」という意味だ。ファンがトッティを応援する際にスタジアムで歌っていたスローガンだ。

2018年のグラフィックは、ロッシのヘルメットにいつもある2 つのシンボル、太陽と月とイタリア国旗のアレンジ。  

バレンティーノ・ロッシは、イタリア国旗を再びアレンジして、ヘルメットの表面をキャンバスとして使い、上部にイタリア国旗を浮かび上がらせ、特別なイタリアGPに敬意を表している。白、赤、緑の側には、オレンジ、蛍光ピンク、水色、定番の黄色などの補色が配置されている。ヘルメットの裏側、スポイラーの下は、太陽と月が白い背景に細い黄色の線で表現されて、その下には、アルド・ドルディがフリーハンドで描いた46の数字がある。

ムジェロ2020

 

残念ながら、世界的な新型コロナウイルス感染症パンデミックのため、2020年グランプリは開催されなかった。チャンピオンシップは7月に始まった。

ムウージェロが始まる!「シュールなグラフィックなんだ」とこの2016年版のムジェロデザインの 2.0バージョンについてアルド・ドルディは説明する。このアイデアは、言葉遊びで、人々を笑顔にするんだ。これはフリージアン乳牛だ」とアルドはいう。「牛が『ムウー』と鳴くなら、ブラックバード(イタリア語でmerlo)は『メー』と鳴いたっていいだろう。裏側には、ムジェロサーキットに隣接する村のランドマーク、中世の宮殿の塔を持つスカルペリアの地平線が描かれている。

 

2021年ムジェロ・スペシャルエディション・ヘルメットについての詳細はコチラの記事をチェック!

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