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Images from Nitro Olympx 2019
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ドラッグレース - チェックすべき7つの理由

Aug 232019

 ドラッグレースはわずか数秒、真っ直ぐなコースを駆け抜けるだけの単純な競争だと思っていないか? もう一度考え直してみてくれ。自らを熱心なモータースポーツのファンであると胸を張って言えるキミは、少なくとも1回はトップフューエルクラスのレース観戦を経験してみる必要がある。炸裂する怒涛の馬力にキミの心は撃ち抜かれるに違いない。モータースポーツ分野でのレースはたくさんあるが、最大出力11,000馬力を叩き出すニトロメタンを食らう猛獣の疾走と張り合うことのできる他のジャンルのレースはほぼ皆無であろう。

トップフューエルクラスのドラッグマシンが3フィートの巨大な幅広スリックタイヤを瞬時に路面に噛ませられるかどうか、他のレースカーなら溶けて壊れてしまうような機械的な高い負荷を継続的に掛け続けられるかどうか、もしくは最終的に時速300キロを超えた速度への到達を記録できるかどうか……。それはキミがチェックすべきこの強烈なモータースポーツ、つまりそれがドラッグレースなのだ。

だが、いまだに不審そうな浮かない表情を浮かべているキミのために、トップフューエルクラスのレースをグランドスタンドで観戦できるチケットを購入する引き金となるに違いない7つの主な理由をここに紹介しようではないか……。

ここで述べるのはちょっとしたバックファイヤのことではない。トップフューエルクラスのドラッグマシンは、スロットル全開固定で飛び出していく間ずっと、8本の排気管から火炎放射器のごとく猛烈な火柱を噴き出し続ける。その技術的な事実は興味深い。トップフューエルクラスのマシンの燃料であるニトロメタンは、ガソリンよりも燃焼速度が遅いため、点火プラグに火花が飛んで混合気に着火しても、すべて燃焼し切らないうちに排気バルブが開いてしまう。そのため、エンジンはまだ燃焼中のニトロメタンを排気管に押し込んで排出しようとする。だからキミはドラッグレースマシンの排気管から火炎が噴出するのを目にすることになるのだ。

キミは、真っ直ぐな道があればどこでもいいと思っていないか? もう一度考え直してみよう。特殊なコンクリートの表面を覆うようにゴムと樹脂を塗布し、黒光りするようになった路面がトップフューエルクラスのレーストラックだ。もしキミがその路面の上を歩くとすれば、靴が脱げそうになるほど路面の粘着力は高いのだ。実際、最近のドラッグレースは4分の1マイル以上の距離で行われることが多いと誤解されている場合がよくある。トップフューエルクラスのレースは、実は1,000フィート(304.8メートル)余の距離でのタイムを競うものだ。そして、4分の1マイルの残りは、マシンを減速させるためのスペースとして用いられる。パラシュートが開き、ニトロメタンを食らう猛獣はようやくスローダウンするのだ。当初、4分の1マイルがタイム測定の距離として使われたのは、アメリカの道路のレイアウトに由来している。アメリカでは、およそ4分の1マイルごと、もしくは1,320フィート(402メートル)ごとに市街のブロックが配置され、それぞれのブロックの境に信号機が設置されていたのだ。距離を短縮したのは、ドラッグレースの運営団体による安全措置の結果である。マシンがゴールした後のランオフエリアの確保がその目的だ。

今日のモータースポーツで最も速く、パワフルなレーシングカーであるトップフューエルクラスのマシンは、11,000馬力と言うとてつもないパワーを解き放つ。このパワーを適切に効率よく使用した場合、この正味の出力は、キミがこの1文を読み終わるのに必要な時間より短い間にマシンを時速100マイルまで加速させてしまうのだ。言い換えれば、スタンディングスタートの状態でフロントホイールがスタートラインを切った後、リアホイールがスタートラインを通過する瞬間に、ドラッグマシンは既に時速50マイルに到達していることになる。その距離が2倍になると、速度は既に時速100マイルになっている。そして、最終的な速度はおよそ時速340マイル(時速540キロ)に到達し、その後マシンの減速のためにパラシュートが開く。わずか3秒~4秒の走行中の加速は、1秒あたり時速100マイルが上乗せされる計算になる。瞬きなどしようものなら、レースを見逃すことになる。路面の粘着性が高く、巨大な馬力を受け止められるにも関わらず、今日のトップフューエルクラスのマシンは時速290マイルで走行中も3フィートの幅広タイヤを空転させられるパワーを絞り出しているのだ。

タイヤについて語ろう。3フィートの幅広タイヤの1セット分は、たった4回の走行で摩耗し、使い物にならなくなる。走行距離にしてわずか1マイルだ。1セット800ドルの値札が下がっているグッドイヤー社製の巨大なラバータイヤ1セットは、2つのタイヤの外周長が完全に等しくなるようマッチングしてペアを組んだセットで購入することになる。このタイヤは、工業用サイズのボルト(ビードロック)を使ってホイールのリムに固定される。トップフューエルクラスのマシンにとって、タイヤは強大なパワーを路面に伝達するのに必要となる極めて重要なコンポーネントである。
自家用車のタイヤの空気圧は、およそ30psi程度であることが多い。しかし、トップフューエルクラスのマシンでは、高々7psi程度の空気圧に留めるため、急発進時にはタイヤのサイドウォールが伸びたりしわが寄ったりするのだ。マシンが静止している状態では、タイヤは幅広のレース用スリックタイヤのようであるが、パワートレインが11,000馬力を絞り出すと、タイヤは縦に膨らみ、巨大な遠心力でゴムが伸びて厚みが薄くなる。
必然、他のすべてのモータースポーツ同様に、適切なタイヤと空気圧の選択が勝敗の鍵を握る。タイヤの空気圧調整が適切ではない場合、予期せずタイヤが歪んだり曲がったりして「タイヤシェイク」が発生することがある。タイヤシェイクによって読んで字の通りの激しい振動が発生すると車体が激しく揺られ、場合によってはマシンのシャシに亀裂が入るほど強大な力が加わったり、ドライバーが気絶したりすることさえある。

一見すると、トップフューエルクラスのマシンのシャシには、1基のエンジンがボルト固定されているように見える。しかし実際は、メカニックたちは、8つの1,000ccのエンジンが個別に装着されているものとして取り扱う。それぞれのシリンダーはおよそ1,300馬力を出力するため、エンジンブロック全体でバランスを取ることが不可欠である。
巨大なスーパーチャージャー、もしくは愛情をこめてブロワーとよばれるコンポーネントを回転させるためには、現代のF1マシンのパワー(1,000馬力)と同じくらいの出力が求められる。そして、スーパーチャージャーから得られる付加的な出力はおよそ合計3,500馬力ほどになる。
エンジンが爆発して部品が粉々に飛び散るような最悪の事態でも安全を確保するため、エンジンの周りには、耐火性に優れ防弾性も併せ持つカーボンケブラーのブランケットが巻き付けられている。5枚のプレートで構成されるダイレクトドライブクラッチ部はチタンシールドで包み込まれており、同じ理由でバルブやスパークプラグもチタンのシールドで覆われている。これは従来の整備技法の1つであり、爆発の制御に適応したものだ。さらに、トップフューエルクラスのレースパドックは完全にオープンなため、トラックを走行した直後に毎回行われるマシンのリビルドの様子を間近に見ることができる。

これについても明らかにしておこう。ニトロメタノールはなかなか厄介な代物だ。爆発物として分類されている物質だ。レース用として理想的な混合比は、メタノール10%にニトロメタン90%だ。
価格は1バレル、もしくは45ガロンで2,000ドルだ。やはり高価なものである。トップフューエルクラスのマシンは燃料タンクの容量が18ガロンであり、1回の走行で燃料タンクはほとんど空になる。現代の自家用車に使われる燃料パイプは、およそ人間の指の太さだが、トップフューエルクラスのマシンに使われる燃料パイプの太さは、人間の手首の太さほどもある。このマシンのエンジンは、1分間でおよそ110ガロンの燃料を消費する。これは、ジャンボジェットが離陸時に必要となる燃料の消費量に相当する。もしくは、家庭用のシャワーヘッドを10個同時に使った場合の湯の消費量と同等だ。
この混合燃料に着実に点火するため、点火系として1つのシリンダーには2つのスパークプラグが実装されている。これらのプラグに火花を飛ばすために44アンペアの電力が必要となる。これはアーク溶接機で白熱スパークを生成するのに必要なアンペア数に相当する。

伝説のドラッグレーシングファミリーであるエルバッカー家の最若手であるインディア・エルバッカーは、トップフューエルクラスで高い人気を博している。電光石火のリアクションスピード、鋼鉄の精神力、および魅力的な必勝の微笑みを併せ持つ女性レーサーだ。もっと詳しく述べておこう。スイスのバーゼル出身、24歳のインディア(・エルバッカー)は現在、トップフューエルクラスにフル参戦するライセンスを得て2年目のシーズンを迎えている。そして、6度のヨーロッパ王者に輝いた父のウルス・エルバッカー(Urs Erbacher)と競う準備を着々と進めている。スイスにあるエルバッカー家のワークショップには、インディアと父のレース用車両が格納されており、ヨーロッパ初のトップフューエルクラスでの父娘対決の時を待っている。ここで彼女のインスタグラムをチェックしよう:https://www.instagram.com/jndia_erbacher/

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