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Team Liquid Nemo & John Takeuchi's interview at Japan
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今も日本格闘ゲーム界に息づくアーケードという文化

Aug 092018

 格闘ゲームシーンにおける日本の存在感を語るうえで避けて通れないのがアーケードカルチャー、つまりゲームセンターである。

これはもしかすると、ゲームセンターが身近な存在だった日本ゲーマーたちよりも、ある種の聖地としてその場所を眺めていた北米など世界のゲーマーたちの方が、アーケードに対する憧れは強いかもしれない。

日本人ゲーマーが活躍するたびに「なぜ日本は強いのか」という問いが蘇り、そのたびに「やはりアーケードの存在は大きい」という結論が再強化されてきたのだ。

ここに2人の日本人ゲーマーがいる。北米の名門Team Liquidに所属し、カプコンプロツアーを戦うネモと竹内ジョンだ。年代こそ違えどともにゲームセンターで腕を磨きプロにまで昇りつめた彼らは、故郷とも言うべきその場所について何を語るのだろうか。

年長のネモは、その場所との出会いをこう表現する。

自分は10歳とか11歳の頃からBIGBOX高田馬場とか新宿プレイランドカーニバルへ行ってました。そのぐらいの年代の子供にとっては『ちょっと悪いことしてるぜ』みたいなね(笑)。家にある10円玉をかきあつめてゲーセンの人に50円玉に替えてもらって、でも対戦すると負けてすぐゲームができなくなるから、1人プレイができるようになるまでずっと待ったりして。

対戦を始めたのは中学生ぐらいかな。やってみたら結構勝てて、それからは対戦が楽しくなった。絡まれたり殴られたりしたこともあるけど、あんまりそれは気にならなかった。やっぱりゲームが好きだから

日本のプレーヤーが世界で勝てる理由の、少なくとも7割ぐらいはゲーセンにあると思いますね。僕の場合は15歳で格ゲーをはじめて、結構上手くなってきたかなという自信がついてきた頃に腕試しで池袋のゲーセンに行きました。やっぱり最初はボコボコに負けて、それ以来完全に『強い人を探しに挑戦しに行く場所』になりました。


新しいゲーセンへ行って強い人と戦って、最初は負け越しても勝てるようになるまで連戦して、その繰り返し。それが僕にとっての格闘ゲームの醍醐味ですね

ゲーセンでプレーする時間は、家庭用でプレーする時間よりも確実に濃いんですよ。自分は会社員をしながらプロ活動をしているのでよく『時間が足りなくないですか?』と聞かれるんですが、そういう時は『おれ本当にゲームしかしてないよ』と答えます。


家にはテレビもあればパソコンもあるし漫画もあるけど、ゲーセンでは格闘ゲームしかやらない。学校が終わったらゲーセンへ、仕事が終わったらゲーセンへ直行するという生活を20年近く続けてきて、単純なプレー時間としても、経験の濃さとしてもそうやって蓄積されたものが自分を支えてくれています


竹内ジョンも、アーケード文化の今後について危機感を隠さない。


昔は各地域のゲーセンに強い人がいて、そこでの大会とかがプレーヤーの目標になっていた部分があると思います。でも今は東京や大阪のような場所に住んでいないと、人と会って対戦する機会がほとんどない。トップ選手たちは集まって顔を合わせて練習していますけど、そういう環境が手に入りにくくなっているのは間違いないです。


僕の場合は、ゲームのおともにモンスターエナジーが定着したのもゲーセンでしたね。長い時間戦うので、集中力が続かないとダメなので。これは大会でも一緒です


2人の言葉に色濃く含まれている、コミュニティに対する強い感謝と帰属意識。それはゲームセンターという場所を中心に形成された人間関係や勝負に対する考え方、そして人格形成の根本を支えるものである。ネモの言葉を借りれば「青春そのもの」といえるかもしれない。


ストリートファイターVが発売されたのは2016年の2月。それから2年半という歳月が過ぎた。それはつまり、多くのプレーヤーがゲームセンターを離れて同じだけの時間が経とうとしているということだ。


しかし今もプレーヤーたちの中には、アーケードで身につけた勝負勘と哲学が確かに息づいている。ネモと竹内ジョンに聞いた最後の質問への答えは、まったく同じものだった。

 

――アーケードカルチャーは復活してほしいですか?

 

ネモ「絶対にあった方がいい場所だと思う。復活してほしい

 

ジョン「また緊張感のある戦いをしたいですね

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