
格闘ゲームシーンにおける日本の存在感を語るうえで避けて通れないのがアーケードカルチャー、つまりゲームセンターである。
これはもしかすると、ゲームセンターが身近な存在だった日本ゲーマーたちよりも、ある種の聖地としてその場所を眺めていた北米など世界のゲーマーたちの方が、アーケードに対する憧れは強いかもしれない。
日本人ゲーマーが活躍するたびに「なぜ日本は強いのか」という問いが蘇り、そのたびに「やはりアーケードの存在は大きい」という結論が再強化されてきたのだ。
ここに2人の日本人ゲーマーがいる。北米の名門Team Liquidに所属し、カプコンプロツアーを戦うネモと竹内ジョンだ。年代こそ違えどともにゲームセンターで腕を磨きプロにまで昇りつめた彼らは、故郷とも言うべきその場所について何を語るのだろうか。
年長のネモは、その場所との出会いをこう表現する。
「自分は10歳とか11歳の頃からBIGBOX高田馬場とか新宿プレイランドカーニバルへ行ってました。そのぐらいの年代の子供にとっては『ちょっと悪いことしてるぜ』みたいなね(笑)。家にある10円玉をかきあつめてゲーセンの人に50円玉に替えてもらって、でも対戦すると負けてすぐゲームができなくなるから、1人プレイができるようになるまでずっと待ったりして。
対戦を始めたのは中学生ぐらいかな。やってみたら結構勝てて、それからは対戦が楽しくなった。絡まれたり殴られたりしたこともあるけど、あんまりそれは気にならなかった。やっぱりゲームが好きだから」