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KOHH at AIR JAM 2018
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AIR JAMへ与えた巨大なインパクト KOHHが示したロックとリアリティ

Sep 192018

 BMX、スケートカルチャーなどエクストリームシーンを包括的にサポートしているモンスターエナジーだが、音楽シーンにおいてはマキシマム ザ ホルモンやcoldrain、MAN WITH A MISSIONなどのラウドロックバンドのサポートをしており、そのことは、このシーンの音楽を愛するリスナー、オーディエンスであれば誰もが知っている。社会に対して尖った音楽を発信し続けるアーティストを支援し続け、あらゆる音楽現場にブースを展開、シーン最前線でミュージックフリークスとダイレクトに接点を持っている。この活動は9月9日にZOZOマリンスタジアムで開催されたAIR JAM 2018においても展開された。

AIR JAMはご存知の人も多いだろうがHi-STANDARDが主催するフェスであり、その時代毎のエクストリームシーンを象徴するような内容が展開されている。AIR JAMが今も伝説のイベントとして語られるのは2000年8月26日に、同じ開催場所、当時は千葉マリンスタジアムで開催されたことが大きな要因だ。日本初の都市型野外フェスをDIYで実現させ、当時、マイノリティな存在であったエクストリームシーンが世間的な脚光を浴びたというのは大事件であった。本イベントは3.11の震災を経て2011年に横浜スタジアムで復活。翌年、東日本大震災復興支援という目的を持ってAIR JAM 2012は宮城県で開催された。モンスターエナジーはこのときからイベントをサポート、AIR JAMの意志に賛同し共に現場を歩んできた。

そんな日本のエクストリームシーン全体をサポートするモンスターエナジーは新たにラッパーKOHHをファミリーへ迎えた。KOHHのような活動を展開しているラッパーは他にいない。KOHH以前と以降では、ジャパニーズHIPHOPシーンは大きく異なる。それほどまでに強烈な個性を放つアーティストだ。日本発、世界を舞台に活躍するソリッドなラッパーをモンスターエナジーがサポートするのは、ある種の必然だったのかもしれない。

AIR JAMはただのパンク・ラウドの祭典ではない。会場には必ずスケートランプが設けられるし、楽器メーカーやアパレルブランドなど、このシーンに携わるカルチャーの中で、もっともカッコいい集団が、Hi-STANDARDの意志に共鳴して参加している。その違いはラインナップを見ても言えることだ。AIR JAM 2000のときにはSHAKKAZOMBIEが参加しており、エクストリームミュージックという観点から、HIPHOPまで含め、ジャンルレスなアーティストが出演している。そう言った意味で、AIR JAM 2018において、その参加に期待と注目をもっとも集めたアーティストはKOHHだった。ジャンルレスとは言え、唯一のHIPHOPアーティストの参加。KOHH参加の発表時、業界は沸いた。これまでラウドやパンクのフェスに出演してきた経緯があるわけではないのだが、なぜだか、この参加はシックリきた。それは「AIR JAMにはジャンル関係なく、もっともカッコいいアーティストだけが参加するフェスなのだ」という固定概念が念頭にあったからだ。9月9日正午、AIR JAMと言えばの常連、BRAHMANのトップバッターでイベントは幕開け、クラウドサーフにモッシュがスタンドエリアに沸き起こり、SiMはHi-STANDARDの「Dear My Friends」のカバーを披露し、AIR JAMへのリスペクトを表現した。SLANGのハードコアショウを経て灼熱の炎天下、KOHHのステージセットが現れた。

彷徨うようなギターの音色がZOZOマリンスタジアムに響き渡り、KOHHの名前が左右の大型エキシビジョンに映し出され、いっぱいになった前方のスタンド席中に手が上がる。DJプレイから鐘の音のイントロへ繋ぎ、ステージ中央にKOHHが走り込んできて1曲目は「Die Young」。中盤のトラックにはヘヴィなギターリフが盛り込まれた本楽曲、AIR JAMのステージにかみ合うようにKOHHは咆哮にも近い勢いでラップする。だが、決して一緒にシンガロングして笑顔で見れるようなステージではない「俺達に明日なんて無い」と歌うKOHHの姿に釘付けになる者、初めてのHIPHOP体験に戸惑いながらもクラップ・ハンズするキッズ、フロアの反応は様々だが、この1曲でKOHHのラップが持つ独特の力、即ちヒリヒリするようなリアリティはAIR JAMを完全に支配してしまった。

「AIR JAM、アツいぞ!」の言葉から次曲「Living Legend」へ。イントロが流れ始めると響めきと歓声が50%ずつでブレンドされた声を上げるフロア。徐々にオーディエンスの揺れが大きくなっていく。「Make Some Noise!!!」で終曲し、そのまま止まることなく3曲目。ダークなトラックとリリックが五感を刺激する「Now」だ。曲の中盤にKOHHが「Evrybady, Hands Up!」と呼びかけると、まるで何かスイッチが入ったように両手が上がっていく。静かな水面に水滴を垂らしたときに広がるように、ゆっくり確実にオーディエンスが手を上げていく様と快晴の青空とのミスマッチ感が、どこか不気味で最高にクールな時間を作りいた。

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終曲からMCタイムへ。「こんにちは、KOHHって言います」とシンプルな自己紹介から「暑いですけど、まだまだイケます?  そしたら声を聞かせて」と4曲目への「Dirt Boys」への誘い。『Dirt!』のコール&レスポンスを巻き起こし、滑らかに5曲目「It G Ma」へ繋いだ。ここで再びKOHHがAIR JAMに話しかける。「みんないい感じですか? 色んなところから、人が集まってきて、こんな青空の下で歌えるなんて有難いです。だから……」一拍おいて「薬物の歌を歌います」と6曲目の「Drug」に。もしかしたら、この場にいる10代のキッズには強烈過ぎたかもしれない。真顔で巫山戯るような仕草もなく、淡々と"薬物"というワードを真っ直ぐにフロアを見つめながら話すKOHHの姿にはゾクリとしてしまい凄みがあった。この歌はKOHHの故郷である王子の都営団地の様子を描いたとされている。AIR JAMに来ていたオーディエンスがどれだけ、そのことを知っていたかは知らないが、とにかくリアリティのある曲にクラってしまった。続く7曲目「Mind Trippin'」では曲の途中ではTシャツをかなぐり捨て、ステージ上手にできていた陽だまりの中にKOHHが入る。偶然ではある、だが、太陽の強い光でキラキラ光る空間の中で「全部がくだらない/再生して破壊」とラップする姿は間違いなく神々しかった。

ライブは終盤。「ありがとうございます。次の曲は家族の歌です。自分の家族が大事だと思う人は両手を見せてください」と8曲目「Family」。「次で最後の曲になります。今日はありがとうございました」とKOHHがMCするとスタンド席のみならずアリーナからも歓声が上がり、タオルが激しく振られた。最終曲は「Hate Me」。最後にこの曲を持ってくるところがまたクール。ラップし終わると、スッとステージ袖に帰って行ったKOHH。その姿に長い拍手が送られたことは言うまでもない。

KOHH:
「初めてのスタジアム、勉強になりました。ありがとうございました。」

KOHHが表現するHIPHOPは、いわゆるメロコアやラウドが示す"皆が一体となって笑顔ではしゃぐ"といった性質の音楽ではない。だが、AIR JAMにおいてもKOHHは当たり前のようにKOHH自身であり、いつものスタンスで最高のパフォーマンスを見せ、オーディエンスを圧倒した。モッシュやダイブだけが音楽の楽しみ方ではない。叫ぶだけが歌ではない。その言葉の強さに衝動を覚えた人も多かっただろう。AIR JAM大トリは当然、主催のHi-STANDARDだが、そのステージでBa&Voの難波章浩はKOHHにオファーした理由を「ロックだから。ジャンルは関係ない。音楽は素晴らしい」と話した。まさしくそうだと思う。KOHHのAIR JAM 2018のステージは、最高にロックしていた。

<セットリスト>
1.Die Young
2.Living Legend
3.Now
4.Dirt Boys
5.It G Ma
6.Drug
7.Mind Trippin'
8.Family
9.Hate Me

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